KORANIKATARU

子らに語る時々日記

思い出が身体の各所に仕舞い込まれている

いつも元気はつらつという訳にはいかない。

いろんなことがあるから、たまには消沈することもある。

 

それでも仕事は待ってくれない。

だから休むのではなく歩を緩め、少しでもいいから前へと進むといったペースに切り替える。

 

午後早い時間にはデスクワークを終え、外出の支度を整えた。

外は雨模様で傘を手に取ろうか迷った末に手ぶらで出かけ、出先に入った途端、明るく晴れ晴れと振る舞うのであるから一種の職業病なのかもしれない。

 

幸い雨に祟られることなく、すっかり日が暮れた頃には業務を終えて素に戻り、こんなときはとてもではないが快活になれる訳がなく、休んで飲むのが身のためとわたしはジムをサボって居酒屋へと足を向けた。

 

ひとりひっそりお酒を飲んで、先の年末年始の写真に見入ってわたしはひととき思い出に憩った。

 

イさんの運転で釜山を巡り、一緒においしいものを食べ、息子たちとサウナで汗をかき、マッサージに癒やされ、帰国した後は有馬にてゆっくり温泉につかった。

 

そんな主要な場面の合間合間、ちょっとした断片のようなエピソードが生まれ、それが後になってから輝きを増してくる。

 

入国審査の列にならぶスリランカ人の青年に家内が話しかけて談笑し始め、空港からの帰途、BGMが銀河鉄道999になった途端、ハンドルを握る長男が高らかに歌い始め、温泉場で見る間に二男は卓球の腕を上げ家内を相手にスマッシュを決め始めた。

 

そんな些細な場面が無意識の淵から幾つもよみがえり、静かに熱を発する熾火みたいに、わたしの心をあたため始めた。

 

すべての思い出が身体の各所に仕舞い込まれている。

やはり旅はいいものだ。

 

さあ、また明日。

一晩眠れば、気分は一新されることだろう。

2024年1月10日朝

2024年1月10日昼 西宮 大貫

2024年1月10日夜 西宮北口 居酒屋ふじや

2023年12月末 釜山