汽車のチケットは長男同様、事前に手配してあった。
家内手製の昼ごはんを食べ終え、二男が帰京の支度に取り掛かった。
旅先で買い込んだ服と家内が作った食料とで荷物は相当な嵩となった。
玄関前で記念撮影し、家内が地元の駅まで二男を送った。
子どもたちと過ごした年末年始はこれにて幕を下ろすことになった。
短い期間ではあったが、息子たちとおいしいものをたくさん食べサウナに入りマッサージを受けいろんな話をし、エピソードに満ちた濃厚な数日だった。
家で夫婦ふたりとなって、わたしたちはこの年末年始について語り合った。
断片も含め双方の記憶に残ったすべてを話し、だから思い出が複眼的に補強された。
家族で過ごしたこの年末年始の時間は息子たちの中にも色濃く残り、このさき永く共有される。
つまり、各自の胸の内にある思い出がわたしたちをしっかりと結びつける訳であるから、年末の釜山と年始の有馬温泉の企画はたいへん有意義なものであったと言えるだろう。
息子たちは東京へと戻った。
が、あまりさみしいとは感じない。
彼らがそこで元気に暮らし、彼らの日々の充実がそこにあるのだと思えば、沈むどころか気持ちが弾む。
そして家内の思いは早くも次の年末年始へと向かい始めた。
皆が健やかに一年を過ごし、また家族で集まる。
それ以上に強く願望するようなことなど他にない。
そう心から知った今回の年末年始だったのではないだろうか。