コーナーツインの部屋だと空が大きく見える。
この日も快晴に恵まれ、朝の青空に誘い出されるようにして家内と周辺の散策に出かけた。
が、空が澄む分、冷え込んだ。
わたしたちは目についたカフェで豆乳ラテのホットを飲み、好天の日曜午前を結局のところ屋内で過ごした。
昼をとる店は決めてあった。
何度も通りかかり連日大行列だったから、開店より早めに向かうことにした。
20分前には店に到着したがすでに列ができていた。
11時の開店と同時に席に案内されて、家内は店の売りであるスイーツを選んだが、わたしはローストハムサンドを注文した。
もしローストハムサンドが売りの店だったら、連日の行列などあり得ない。
そう思えた。
こういうときは質より量、わたしは気を取り直しパスタを一皿追加した。
長男との待ち合わせまでまだ時間があった。
だから、近くにある行きつけの店に電話して、フット30分＆ボディ40分のコースを予約した。
夫婦揃ってマッサージを受け終えて、午後３時過ぎまでホテルの部屋で微睡んだ。
長男との待ち合わせ場所は表参道の交差点だった。
遅れぬようホテルの部屋を出て、路上で待つこと15分、長男が現れた。
馴染のない場所での再会が不思議なことのように感じられた。
明治神宮方面へと向け女房と長男が並んで歩き、わたしは一歩遅れて後についた。
家内は終始嬉しそうで言葉を絶やさずあれこれ話すが、長男は自分のペースで悠然と受け答えし、ああ大人になったのだと、後ろから彼の様子をのぞきみてそう実感した。
ナイキで息子のウェアとシューズを選び、まもなく時間。
中目黒で先輩らに会うという長男とそこで別れ、わたしたちは千代田線を使って代々木上原へと向かった。
家内がsioを予約してくれていた。
やはり鳥羽シェフは天才だった。
様々な食材が有するポテンシャルを最大限引き出し、それらを組み合わせるセンスは常軌を逸したものと言えた。
創意に満ちた料理の数々にわたしたちは感動しきりとなった。
何度も感嘆し、だから次回の予約も忘れず、今度は息子も連れてこようと決めた。
時間が押していた。
急ぎ足で駅へと出てタクシーに乗り、続いては神楽坂に向かった。
運転手によれば代々木上原一帯は群を抜く高級住宅地でユニクロの柳井さんや日大理事長の林真理子さんなどが暮らしているのだという。
そんな話を聞くうち目的地にたどり着き、わたしたちは寿司屋の引き戸を開けた。
二男がすでに奥座敷に着座して、一足先にはじめていた。
合流し、わたしたちもあれこれ頼み、先を行く二男の後を追った。
食べて幸せを噛み締め、この幸せがわたしたちの現在地点でありスタートラインなのだと確認し合った。
たっぷり食べて飲み、早稲田から電車に乗るという二男と一緒に通りを歩いた。
途中、雨が降り始め、タクシーに一緒に乗ろうと誘うが二男は歩いていくといって聞かなかった。
だからわたしたちはそこで息子に手を振った。
西へと進む二男とは正反対。
通りかかったタクシーに乗り込んでわたしたちは宿のある東へと向かった。
次回の合流は桜咲く頃合いになることだろう。
