日をまたぐことなく関空から自宅へとたどり着き、月曜は朝6時から業務に着手した。
ちょうどその頃、長男も起き出して、忙しい一日の準備を開始していた。
朝8時には海外からのお客さんをホテルに迎えに行き、来週からの海外出張について協議し業務の詰めを行う必要があった。
責任重大であるから、週末時点ですでに彼の心はこの月曜の業務に占められていた。
わたしも同様。
そこまでのプレッシャーはなくても札幌で過ごす間、しばしばわたしは週明けの業務に思いを巡らせていた。
長男の一日を頭の片隅に置き、わたしも始動した。
業務の皮切りは豊中で、続いて箕面に移動した。
友人に会うため急遽週末に帰阪していた二男は家内と買い物に出かけていた。
二男の運転であるから、家内からすれば息子とデートといった話だろう。
笑顔で楽しむ家内の様子が目に浮かんだ。
出先から事務所に戻り、多少なり憂いのあった一日の業務を無事にやり切ることができた。
そして夕刻、風が冷たさを増す武庫川を走ったのであったが、風が吹く分、札幌よりこっちの方が寒いのではと思った。
たっぷり一時間走って、これで肉を迎え撃つ準備が整った。
三人で連れ立って電車に乗って摩耶駅で降り、下町の商店街を歩いて神戸きっての名店を目指した。
午後7時半、席に案内されて、家内がおすすめどころを注文していった。
肉も海鮮も口にするすべてが絶品だった。
そりゃ人気を博する訳である。
神戸大学の学生さんですか。
そう女将に話しかけられ早稲田ですと答えた息子とひさびさ男同士、じっくり言葉を交わした。
それぞれの情報をみなで共有することが大事で、その共有がわたしたちに必須のタフネスを増強させる。
武庫川を走っているときに確信に至った内容をわたしは息子に伝えた。
いま息子たちが頑張っている。
そう思えば、わたしはよりいっそう頑張ることができる。
それと同じで親が頑張っていると思えば、君たちも頑張ることができるだろう。
いろいろな場面での情報を共有し、いま各自が何に取り組んでいるのか、何と格闘しているのか、それを知る必要があり、そしてそれを思い起こすことが内にたっぷりと宿るタフネスを呼び起こす。
食べて食べて食べまくっての帰途、長男からメッセージが届いた。
彼が選定した「YAKITORI ごくう新橋璃宮」という店が接待先として大好評だったとのことだった。
海外の取引相手と打ち解けそれで海外出張の楽しみが倍増したのだろう、意欲たっぷりに張り切っている様子が伝わってきて実に頼もしい。
今度は家族四人で集まって東京で焼き鳥。
そうなるのは当然の話だった。