KORANIKATARU

子らに語る時々日記

縁が命を守る

家内が美容室にいる間、わたしは武庫川を走った。

夕刻、駅で待ち合わせて一緒にホームにあがった。

 

と、そのときアナウンスが流れた。

JR神戸線の須磨駅で列車がお客様に接触したとのことだった。

 

このところ頻発しているように思える。

日を置かず、誰かが列車に接触している。

 

たったいまそうであった人の直前の胸の内を想像してみる。

土曜日の夕刻、ホームにひとり立つ孤独を思って胸締め付けられた。

 

電車に並んで座って、家内の二万語に耳を傾ける。

その間も長男と二男からそれぞれメッセージが届き、それらに返信するうち北新地に着いた。

他のことを考えるいとまはなく、接触事故のことは意識の向こうへと消え去っていた。

 

スエヒロの横の通りを南に進んで突き当たったビルの6階。

緒乃は歩いてすぐの場所にあった。

 

中に入ると、ハロウィーンだからとハイジとクララの装束をまとうご婦人らがいて、お菓子をもって出迎えられた。

そんな楽しげな雰囲気のなか、大将のトークも冴えて料理はやはり絶品だった。

 

帰宅するとちょうど10時。

夫婦で「二月の勝者」を見ながら思う。

 

一緒にテレビを見る女房がいて、息子らからはしょっちゅう連絡があり、次の予約が取れたから声を掛けようと思う友だちがいる。

 

幸いにして孤独と無縁。

また会いたいと思う人がいる限り、ホームにひとり立って虚空を見つめることはないだろう。

そういう意味でやはり縁が命を守ると言え、それが最重要と子らに何度でも伝えることになる。

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2021年10月30日午後 武庫川
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2021年10月30日夜 北新地 緒乃