月曜は飲まずに過ごし、この日もと思ったが、カネちゃんからの誘いがあったので雨模様の夙川からまっすぐ北新地へと向かった。
気楽に過ごせて落ち着ける。
合流した寿司屋はそんな店だった。
積もる話が山ほどあって、いったい何から話せばいいのか分からない。
まずは近況を交換し合った。
かねしろ内科クリニックを恃みとする患者さんの数は増加の一途をたどっているとのことだった。
院長のキャパが限界を迎えるまでその「一途」が止むことはないだろう。
医療を天職とするうえで欠かせない包容力と人に優しい心根を備え持ち、休んで遊ぶより医療に従事している方が落ち着くといった生真面目さまで兼ね備え、だから、人が心を開いて集まってくるのも致し方ない。
いまやカネちゃんは平野を終の棲家としたいと思う方々にとり欠かせない存在になったのだった。
学生時代や家族の話など楽しく語らい、今度開業するクリニックを紹介してくれるというからありがたい。
軽く食事を終えたあと、カネちゃんの弟が仕事を終えて心斎橋で待っているというので図々しくも随行し一緒にミナミへと移動した。
わたしとカネちゃんが友だちで、弟同士も友だちだから、たすき掛けの法則というのだろうか、わたしとカネちゃんの弟は初対面であったが打ち解けた。
上背185センチ。
がたいがでかく男前で阪大歯学部卒。
カネちゃんの弟は、うめきた再開発でいまをときめく大淀の地にて、地域の歯科診療に貢献する「かねしろ歯科医院」の院長でもあった。
男三人で子どもたちの話などし盛り上がった。
子どもたちの歳も近いから今後協力し合うようなこともあるだろう。
そんな未来図を思い浮かべれば、わたしたちは家族のようなものと言っても大げさな話ではなかった。
50を過ぎてかわすボーイズトークも面白く、いつまでもこうしてずっと話していたいと思うが深夜零時をまわったところで楽しい放課後の時間はお開きとし、各自の家へと帰ることにした。
店の前で握手して名残を惜しんで皆でハグして別れ、わたしはタクシーを拾う道すがら目の合ったラーメン屋に寄り道してから帰宅した。
深夜1時。
タクシーが家の前に到着し、見上げると煌々と明かりが灯っていた。
明日は休日。
リビングにてまもなく家内との三次会が始まろうとしていた。