KORANIKATARU

子らに語る時々日記

試合を控えたアスリートみたいに

休日に出勤するなどひさびさのことだった。


ここで前へと進んでおかないと後で苦しい。

であれば休みという自由時間を仕事に充てるのが正しい。


正しいことでありかつ自営業者であるから、何ら忌避感なく無人の事務所にて業務に邁進した。


いつもより密度高く仕事がこなせ、昼にいったん休憩を入れた。

カウンター席にすわってラーメンを食べていると、唐突に隣席の中年女性にぽんぽんと肩を叩かれた。


「一緒にビールでも飲みません?」


ひとり飲みでおばさんは退屈していたのだろう。

しかしこちらは仕事の途中。

また今度と言って、半身になって背を向けた。


そのようにちょっとした誘惑などを軽くいなして業務を続行し、夕刻にはかなりの分量が片付いた。

これで明日以降の見通しがすっきりついて、大いに呼吸も楽になった。


帰途、大阪駅のステーションビルにあるジムへと寄り、サウナに入って風呂につかり、冷たく吹きすさぶ強風を湯冷ましに家へと戻った。


家内はこの日、あれやこれや料理づくりに励んでいた。


ヘルシーな食材の数々を前に女房はワインを注ぎ、わたしは炭酸水を手に取った。


今後のことを考えれば言わずもがな。

単に健康であるだけでは足りず、明瞭であらねばならず頑健でなければならない。


休日だからといって気を許していては始まらない。


もうこんな歳へと至ったが、ちょっとでもマシな余生を送るには試合を控えたアスリートみたいな心得が多少なり欠かせないのだった。

2024年3月20日昼 谷六 麺工房

2024年3月20日夜 ノンアルで家内手作りのヘルシー夕飯