朝、プールを独占するみたいに夫婦で泳ぎ、お腹を十分に空かせてから朝食をとった。
さすがロッテホテル。
どの一品も素晴らしく、これまで経験したビュッフェのなかナンバーワンだと思えた。
昼過ぎになって江南のロッテワールドタワーへと移動し、家内の後について免税品など見て回った。
が、円安の影響なのだろう、調べるとどの品も日本で買ったほうが安く、韓国に置かれた品は更に高嶺の花という状態になっていた。
近辺にある下町風の定食屋で昼を済ませ、次の目的地へと向かった。
汝矣島(ヨイド)への道は混み合って一時間半もバスに揺られることになった。
おまけに天気が悪く冷え込んで、そこから下る漢江クルーズは思い描いたものとはまったく異なるものとなってしまった。
点灯される橋の光も控えめで、冷たい雨風に見舞われながらただ真っ暗な中を進むようなものであった。
船内で食事は出たが口に合わずほとんど手をつけず、行程を終えホテルに戻ったときには空腹だった。
時刻は夜9時。
ネットで調べると乙密台(ウルミルデ)が10時まで開いていると分かった。
Netflix「冷麺讃歌」にも登場する名店である。
タクシーを呼んでもらって夫婦で向かった。
蕎麦の風味が香り高く、スープも清涼なのに奥深い。
これまでの冷麺観が書き換えられるほどの美味だった。
先に追加の麺まで頼んでいて正解だった。
おかげで間断なく、長い歴史を刻む伝説の美味が堪能できた。
食べ終えてカカオでタクシーを呼びホテルに戻った。
そして、さきほどの正解が書き換えられることになった。
まるで上司に叱られる新入社員みたい。
「先に追加を頼む食い意地が信じられない」とわたしは家内にこってりしぼられたのだった。