京都に着いたのは昼を少し回った頃合いだった。
京都南で高速を降り、その足で今宮神社に向かった。
数年前、家族であぶり餅を食べた。
その思い出に誘われるままクルマを走らせ、お参りしてから茶店でくつろいだ。
もちろん、餅だけでは昼として物足りない。
何を食べようか調べてすぐ、中華のサカイの本店がすぐそばにあると分かった。
それで決まりだった。
クルマで三分ほどの場所にあった。
昼どきを過ぎているのに列ができていた。
三十分ほど並んで待って、いよいよ席に案内された。
ここの名物は冷麺。
だから当然、冷麺を三つ頼み、物は試しと餃子と炒飯も追加した。
列のできる理由がよく分かった。
美味の記憶がこの先いつかよみがえり、わたしたちは再びここへと導かれることだろう。
続いてROKU KYOTOに寄り、二人はお口直しにかき氷を食べ、わたしはお酒を飲んだ。
見るからに富裕な客がそこで憩って、「いい思い」は局所に偏って存在しているのだという世界の真実をわたしたちは目の当たりにすることになった。
息子にとってはまたとない社会勉強の機会と言えた。
夕刻、前夜に予約した京都駅近くのホテルにチェックインしてすぐ、わたしと二男はフィットネスでトレーニングに勤しんだ。
一緒に筋トレし、トレッドミルで快速を飛ばして息子は走り、それを横目にわたしはえっちらこっちら這うように走った。
ロビーで家内と待ち合わせ、タクシーで近くのスパに赴いてサウナでたっぷり汗を流し、そこからまたタクシーで串カツ田中を訪れた。
ビールを皮切りにワイン、焼酎、日本酒とあれこれ飲んで珠玉のカツをたっぷりと堪能し、帰りもタクシーを使った。
あとはホテルに帰って寝るだけ。
タクシーのフロントガラスの向こうに夜空を染める京都タワーの姿が見えた。
こんな遅い時間に眼にするのは初めてのことだった。
ゆっくりと過ごすからだろう。
京都の格別感がいや増しとなったように感じられた。