空港から鉄道を使って中心街へと出た。
駅を降りマーケットで朝食を取ろうとタクシーに乗って港に向かった。
目的地は目と鼻の先にあり僅か5分ほどの乗車だったが、タクシー代は25ユーロで、つまり4,250円もしたから驚いた。
所々に残雪が見られ気温は4℃、冷涼な空気のなかを歩いていま北欧の地にいるのだと実感がわいた。
カラダが冷えてしまわぬようまずは屋台で熱々のスープを頼んだ。
地元の方々に混ざって、暖かなカップを手にして海を眺めた。
曇天の空を背景に海上をカモメが飛び交う。
極寒の地であるからスープが必須。
ジャガイモなど具材のたっぷり入ったスープがカラダに沁み渡った。
巨匠アキ・カウリスマキの映画が描く世界が眼前にあるように思えた。
目にするどの人も顔形が映画の登場人物に似て見えて、実際誰もが心優しく親切だった。
人というのはこういうものであり、わたしもそうでありたいと願ってきた世界に手が触れる。
それは実に不思議な感覚だった。
もしかして今まさに映画が始まった。
それと同じような話なのかもしれなかった。
いずれにせよ、映画を通じて目に馴染んだ世界で素晴らしい一日が始まろうとしていたのだった。