週末の学祭に備えて手伝いがあった。 それで家内は不在になった。 夕飯の時間まで待てない。 何を食べようか。 わたしは二男と話し合った。 たまにはインスタントでも食べてみよう。 滅多にありつけないので二男にとっては禁断の味。 連れ同士みたいに近くの…
台風接近の朝、7時半から業務を開始し電車がまだ動く午前10時半には終業とした。 わたしは一人事務所に残った。 台風が過ぎた後、クルマで帰るつもりだった。 夕刻頃の帰還になるとそのときは目算していた。 大した台風ではないのかもしれない。 朝方の穏や…
依頼の電話をかけたのは朝の10時過ぎだった。 藤川神父と言えばわたしが中1のときの担任の先生である。 35年ぶりに聞くその声は、お歳召された分、ずいぶんと柔らかに感じられた。 入学したばかりの初っ端の初っ端、宿題をやっておらず叱られた記憶がまだ鮮…
一緒に買物に出かけて帰宅した途端、休む間もなく家内はテキパキと夕飯の支度を始めた。 キッチンから伝わってくる料理の手際良さが耳に心地よく小気味いい。 わたしはソファで寝そべってiPadを胸に置く。 『解夏』という一昔前の映画を見ることにした。 理…
土曜朝、大阪市に大雨警報が発令されて学校は休みとなった。 だから当然、校内に生徒の姿はない。 午後5時、息子と待ち合わせし三者面談に臨んだ。 一体これまで何度、長男の学校に足を運んだことだろう。 大阪星光は度々訪れるが、二男を交えての三者面談は…
夏休みの最終日、うなぎを買って帰ると二男に約束していたが、それを思い出したのは家が間近になってからだった。 金曜の夕刻、いまさら戻る気力などなく、第一、目当ての店はとっくに閉まっている。 やむなく、駅前のコープをのぞくことにした。 パックに入…
公園で野鳥が鳴く以外には物音ひとつしない明け方、門の開く音がした。 時計を見ると5時。 二男に違いなかった。 彼は本当に朝風呂に出かけたのだった。 どの湯がベストか。 ここらあたりなら六甲道の灘温泉。 前夜夕飯の席でわたしは二男に語った。 その場…
この日夕刻、下の息子が帰ってくる。 6泊7日に及んだ黒姫合宿は待つ方にとっても長かったが、現地で指折り数える側にとっては更に長く感じられるものだっただろう。 夜は二男の求めに応じて外食。 その心づもりでわたしは動いていた。 グーパスの通知で二男…
まれに疲労に襲われる。 頭に握力がない、といった感じで、作業しようが面談しようが肝心要がグリップできずもどかしい。 こんなとき仕事を深追いすることは禁物で、マウンドは譲って外野の守備につくといった回避策を取るに越したことはない。 疲れの原因は…
何年もこの仕事をやっているが、はじめてのお客さんを訪ねるときには少しばかり緊張する。 この日午後、新規先での面談予定が入っていた。 時間よりも早めに着いた。 失礼にならぬよう事業所の前に立ってしばし過ごす。 こんな凪のような時間、いろいろなこ…
日曜の朝、長男を送り出し、奈良桜井方面へとクルマを走らせた。 天理インターで降り三輪山本に着いたのは10時半過ぎだった。 開店前なのにすでにロビーは待ち客で溢れていた。 席に通されたのは11時半。 まもなく万葉大盛りが運ばれてきた。 麺の細さに芸が…
土曜の午後、久々母校に寄った。 同窓会室にはすでに妹尾くんの姿があった。 午後1時から同窓会報の編集打ち合わせ。 といっても長年の蓄積があって形式はほぼすべて整っている。 後輩はその古き伝統を踏襲しつつタイムリーな話題へと刷新していけばいいだ…
緊急事態を知らせるメールだった。 腹が減った、お金はない。 対応したのは家内だった。 時刻は午後4時。 よく冷えたお茶を携え、長男がいる西宮北口へとクルマを走らせた。 途中、やまがき畜産に電話し、作りたての和牛弁当1つを注文した。 クルマを停め長…
夕方から電車の本数が間引かれる。 そう耳にしたのでこれ幸い。 仕事が一段落した午後3時過ぎ、早めに帰宅することにした。 ホームに入ってきた電車をみて驚いた。 こんな時間に混み合うのを見たのははじめてのことだった。 我先に西へと帰還する一団で車内…
台風20号が近畿地方にひたひたと迫る木曜朝、下の息子は信州黒姫へと旅立った。 6泊7日。 うち1日は自由行動を満喫できるようだがそれ以外は朝から晩までみっちり勉強。 大阪とは水も空気も透明度が比べ物にならない。 そんな信州の地で過ごせることが親と…