週末の学祭に備えて手伝いがあった。
それで家内は不在になった。
夕飯の時間まで待てない。
何を食べようか。
わたしは二男と話し合った。
たまにはインスタントでも食べてみよう。
滅多にありつけないので二男にとっては禁断の味。
連れ同士みたいに近くのコンビニに出向き小腹埋めるための一品を各自選りすぐった。
わたしが選んだのは、一風堂トムヤンクン豚骨。
二男が手に取ったのは、ぶぶか油そば。
帰宅するとすでにポットの湯は熱々に沸いていた。
二人で湯を入れ時間を測る。
一口食べて美味しいがそれにもだんだん慣れてくる。
食べたはいいが食後の余韻というのだろうか、食べた満足感というものがやってこない。
後味まで含めて非の打ち所がない。
インスタントにそこまで求めるのは欲張りすぎというものだろう。
息子と二人で悪事働いたような思い出と複雑な心境伴う満腹感だけが残った。
インスタントなら別腹、夕飯も食べられると思ったのはとんだ見込み違いだった。
たまにはこうして女房に楽をさせてあげるのも男子の心得。
わたしは二男にそう教えるが、帰った家内に叱られることもまた確かなことであった。
そのように家のリビングで男二人が意気消沈している同じとき、上の息子は学校とは別の場所で缶詰になっていた。
ひと駅も離れれば学祭の華やぎからは隔絶した世界。
期間中、そこで皆で励まし合って頑張ることになる。
歌って踊って映画作って司会もこなした去年とは大違いであるが、取り組む内容が異なるだけで、気炎を揚げるのは同じこと。
今年は学祭見物には出かけずに、家内が買ってくるクッキーを食べ思い出にひっそりひたるということになるだろう。