今朝の産経新聞正論の見出しが目をひいた。
「脳は生涯にわたり発達し続ける」とある。
紙面めくる手を止め始発の電車を待ちつつ目を通す。
脳が最高位に位置する司令塔であるわけではない。
その上位には心や意識があって、脳はその受信機のようなものに過ぎない。
黄金期を迎えつつある脳研究によってそのようなことが明らかになりつつある。
では、その脳を司る「人間の意識」というものは何なのか。
突き詰めれば、「サムシング・グレート」とでも言うしかない、という。
大自然の偉大な働き、ということのようだ。
だから、受信機である脳に私たちが「使われる」ことになれば主従逆転、本末転倒ということになる。
果てはカラダを壊すことになりかねない。
「サムシング・グレート」と接続する心をもって、脳を手懐けコントロールするのが本来の姿であるべきであり、そのためには「固定観念を捨て、柔軟性をもってリラックスすること、素直であること、心配しないことなど」が肝要な心的態度となる。
この在り方こそが、局面を切り開く鍵になる。
脳は、悪念を持つ者ではなく、良き心を持つ者に味方するからだ。
筆者である筑波大学名誉教授の村上和雄氏が本稿の論旨を展開するなか、ディーパック・チョプラ博士について触れていて、興味そそられる。
もしかしてスピリチュアル、とは思いつつも、チョプラの著作のうちもっとも廉価なキンドル版をアマゾンで購入しダウンロードした。
朝この話を読んだからであろう、外回りの際、脳研究の第一人者であった故松本元氏の著作「愛は脳を活性化する」をカバンにひそませた。
チョプラ博士のキンドル版は後回とし、待ち時間などにざっと読み返す。
脳型コンピュータの開発の過程で、著者は脳の基本的な特性を数々見出していく。
例えば、先に脳の活性があるのではなく、一歩踏み出すことで焦点が次第に定まり、それにつれ意欲が生まれるという脳が持つ価値の再評価構造。
できると確信することについて、その方向に向け脳の活性を集中して、できると確信することを実現するように働く脳の性質。
本書を読めば、もっと早くに知っておきたかったという脳についての知見続出で唸らされること請け合いである。
そして、様々な脳の特性を横断し説き終えた後半部において、「確信」こそがエネルギーを生むという脳の性質から、人が宗教を持つ必然について語られる。
話がより大きな構図、愛へと広がっていくが、説得力ある展開にゾクリと身が震えるほどの興奮を覚える。
1996年初版のこの書籍はもちろん君たちの書棚のなか最前列に並べられる。