KORANIKATARU

子らに語る時々日記

この日、第66回入学式が行われた。

1
午前中にあらかた用事を済ませる。
出かける間際、あっそうそうと思い出し、デスクに戻って「伝染るんです。」全5巻を注文した。
子らのバスルームでの課題図書として是非とも加えるべき古典であろう。

寒が戻って微か小雨交じる大阪である。
傘は差さず四天王寺夕陽丘へと向かう。
ここで耳にするテーマは、Colbie Caillat の 「Older」。

12:55。
開始5分前、ぎりぎり間に合った。
5階の講堂へと階段を駆け上がる。


入口で式次第を受け取り、会場内で家内を探す。

右サイドに役職者が居並び、左サイドに教職員が並ぶ。
まだ身丈合わぬ詰襟着た188名の新入生は中央正面のエリアに行儀よく座り式の始まりを待っている。

後方から呼びかけられ、階段席最前列、家内の横に腰掛ける。


定刻、聖歌とともに第66回大阪星光学院入学式が始まった。
司祭による祈願が行われ、聖書の一節が朗読される。
そしてまた聖歌の合唱が挿入される。

厳かな雰囲気に包まれる。
私は椅子に腰掛け直し居住まいを正す。

入学者の点呼が始まる。
188名それぞれの名が呼ばれ、小さく可愛い新入生たちが元気よくハイと返事し起立していく。

どの名にも知と力が宿り、威風堂々、重々しく響く。
奇を衒ったような、虚をつくような軽く浮いた名はひとつもない。

二男と同じ塾に通いどこを受験しても合格したに違いないであろう図抜けた超優秀者達の名を入学者氏名のなか何人も見つける。
このちびっ子たちは並々ならぬ優秀者の一群である。


学校長が式辞で新入生に呼びかける。
サレジオの学校の生徒は、故あって神に招かれたのである。
深い意図のもとに皆がここに集められ、そしてその縁を今後豊かに紡いでいくことになる。

引き続き後援会代表が祝辞を述べる。
「友達をたくさん作って下さい、ほんとうに心から分かり合える、真の友人をたくさん作って下さい」

拝聴しつつ、一人思う。
作ろうと思わないでも友達ができるのが星光であり、これから始まるたったの6年だけではない長く深い付き合いがここを起点に始まることになる。
生涯エールを送り合う、骨太の友情がいくつもここから生まれることになるだろう。


星光の入学式は長男の学校の入学式とは対照的なものであった。
長男の入学式については以前、ちょうど2年前の4月8日の日記に書いたとおり、3時間にもおよび、チアフルでエンターテイメント性に富んでいて、私も家内も感極まったものであった。

今日、二男が迎えた星光入学式は格式と風格漂う厳粛な式典と呼ぶべきものであり、時間も40分ほどで短くイベント的に趣向凝らすといった要素は皆無であった。

米国的な長男の学校と英国的な二男の学校。
単純すぎるにせよそのような図式で見れば両校の雰囲気がイメージしやすいかもしれない。


入学式の後、定期券売り場で同じ方面の友達を作り、ヨドバシカメラや梅田ルクアで真っさらな同じ制服着た友達に手を振りつつしている間に、夕食の予約の時間となった。

ルクアのポンテベッキオにて家族3人で食事を始める。
と、長男が下校したという情報がミマモルメ通じて入ってきた。

家内が言う。
どうせなら、長男も合流させよう。

しかし、連絡手段がない。

大阪駅で乗り換える時間を見計らい、待ちぶせすればいいと家内が提案する。

無理だ、と私は笑うが家内は自信満々の様子だ。

結局、家内と二男が二手に分かれ、大阪駅の構内に向かうことになった。
帰宅ラッシュ時の大阪駅であり、長男がどの電車のどの車両に乗り、どのような経路で乗り換えのホームに移動するのかも定かではない。

私にはミッションインポッシブルにしか思えない。
家内と二男の連絡を待ちながら、一人窓際の席でビール飲みつつ時間を過ごす。

待つこと30分。
エスカレータに乗る長男を確保したとの連絡が家内から入った。
さすが家内。
これで思いがけず家族4人勢揃いでの夕飯となる。

長男は腹を空かせているに違いない。
早速私はウェイターに長男好物のカルボナーラとカツレツとお代わりのビールを注文した。

こうして梅田の夜景をバックに、したたか食べる子らの様子見て家内とワインを飲む時間が始まった。
この日私たちはどの来店者よりも長逗留したのではないだろうか。
4月7日友引、予想以上に良き一日となった。

f:id:otatakamori:20150408111837j:plain