KORANIKATARU

子らに語る時々日記

ジリ貧列車の行き着く先

ケニアの湖畔で27体もの人骨が発見された。
かつて沼であった場所が砂丘となってそこに埋まっていた人骨が地上に姿を現した。

内訳は大人の男女21体、子ども6体。
中に妊婦も含まれていた。

いずれの遺骨にも虐殺の跡があった。
両手両足を縛られ頭蓋を殴られ粉砕され矢や槍で穿たれ両足をへし折られそのまま沼に捨てられた。
一万年ほど前の出来事である。

ヒトが定住を始め農地をめぐって集団間での争いが発生するようになった。
これまではそう考えられてきた。
戦闘行為は定住生活の副産物であると見るのが定説だった。

ところが、今回の現場であるケニア湖畔において当時ヒトはまだ狩猟採集生活を行っていた。

どうやら定説は書き換えられることになるのだろう。
肥沃な生活圏で食糧を備蓄していたグループが、食糧を探すグループに襲撃を受け惨殺された。

土地の所有権を争って、という以前に食糧をめぐって狩猟採集民も定住民と何ら変わりなく組織的に暴力的であったということである。

ヒトの不変の本性についてこれほど寒々しい思いとなる話もない。

そして、日本は肥沃な時代をとうの昔に終え、未来は陰り、どうやら徐々に徐々に衰退に向かっていく。
砂が風に飛ばされそのなかに埋まっていた人骨が姿を現したように、人の本性が露わとなってしまっても何ら不思議はない。

このままいけばジリ貧列車の行き着く先は昔懐かしの太古、集団間で繰り広げられた暴力頻発の地なのかもしれない。
まずは兆候として他者に対し人心ますます荒廃し醜悪な世となっていくのだと見て間違いないのであろう。

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