KORANIKATARU

子らに語る時々日記

2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

旅することで自らの心象があらわとなる

霞亭を後にし家内と運転を代わった。 途中そうめんの里に寄っておみやげを買い、網干に寄って業務に臨んだ。 予定通り30分で打ち合わせを終えてクルマに戻ると家内は英会話のレッスンを受けていた。 ともに30分を有効活用する夫婦なのだった。 時刻は午後4…

先のことなど何も分からず駆け抜けてきた

遠方へと出かける仕事が生じると、しばしば家内が運転を買って出てくれた。 それが夫婦の遠足みたいになって、仕事を済ませて一緒に遊んだ。 昔は連日仕事に明け暮れ、たいへんだった。 そう記憶している。 それでも時折、そんな遠足みたいな日が差し挟まっ…

東京タワーから秋の匂いが漂ってきた

結構値の張るビュッフェであっても欲張らない。 オムレツなど評判の品の他はフルーツや野菜などを取るに留めた。 この日の昼なら時間がある。 そう言う二男と待ち合わせ、彼の希望でスペイン料理の店を選んだ。 タクシーを降りるとすでに息子が待っていた。 …

東京湾の景色のなかにふんわりと包み込まれた

学生時代とその後数年、東京で暮らしていた。 が、ほぼどこへも出かけていない。 いわゆる出不精。 狭い世界に閉じこもり、それで足れりとしていたのだった。 家内と結婚しあちこちへと出歩くようになった。 東京についても家内と行動を共にして、はじめてそ…

家族といるだけで平穏に時が流れて満たされる

最終日となった滞在三日目も、目覚めてすぐ息子とともにプールで泳ぎ一日をスタートさせた。 朝食後は三者三様、別行動とした。 二年前のクリスマス・イブの日、博多の寿司屋「たつ庄」で韓国人カップルと隣り合った。 年若い女子と家内は意気投合し、以降、…

ソウル滞在二日目の記録

涼をとる目的で入ったリウム美術館であったが、見応えある展示物の数々に圧倒された。 大きなものは造れない。 そんな財政上の制約のなか、人の背程度の仏塔が朝鮮時代に数多く作られた。 その細部が凝りに凝っていて、そこに込められた思いが時を超えて伝わ…

旅によって日常の覆いがべろっと剥がれる

前日同様、ジムでのトレーニング前に部屋のテラスで入念にストレッチを行った。 家内の指導に従い、あちこちの筋肉を伸ばしていった。 負荷をかけ筋肉を縮めるより、こうして伸ばす方がはるかに大事。 家内を指導してくれるトレーナーはいつもそう言うらしい…

下町で寝泊まりした原初の旅

下町の小さな家で生まれ育った。 暮らし向きは豊かなものとは言えなかったが、それなりに楽しかったように思う。 週末になれば業務用の自転車で祖父が迎えに来てくれよく祖父母の家へと泊まりにいった。 祖父母の家は下町の度が更に増したような場所にあり、…

息子たちあってこそ色鮮やかに映える二万泊

ほぼ毎月。 息子たちに会うため上京している。 が、今回はやや間が空いた。 6月以来だから2ヶ月もスキップしたことになる。 飛ぶように月日は過ぎ去ってはや9月下旬。 経験的には秋が兆し始める季節の変わり目である。 東京は秋から冬にかけての時期がと…

まだこの先へと進みたい

頭重感を覚えた。 普段なら一気軽快に仕上げることのできる書類作業にさえ億劫さを感じた。 今週はいつもにも増して忙しかった。 さすがに疲労が蓄積しているのだろう。 その昔、毎週マッサージに通う時期があった。 仕事の手が鈍る前に定期的に手を打ってい…

充実の味はとっても甘い

お酒を飲まない。 それが日常の流れに馴染んではや3ヶ月になろうとしている。 先月の血液検査でガンマGTが79だったから、いまはもっと低く正常の範囲に収まっているのではないだろうか。 お酒を飲まない反動で甘いものに目がない男になってしまったが、体調…

ほんとうの姉と妹みたいに仲がいい

朝6時ぴったりに二男が目を覚ましジムへと向かった。 わたしも続いた。 風呂も水泳も朝のうちに済ませてしまう。 やはり父子、血は争えないのだった。 ソウルの青空を仰ぎ見ながら泳いで爽快。 泳ぎ終えジャグジーに並んで座って、ぽつりぽつりと言葉を交わ…

ほぼすべてのことがどっちでもいい

滞在3日目もプールとサウナの朝活を欠かさず3人一緒に朝食を終え、昼まではそれぞれ自由行動とした。 家内は博多の寿司屋で知り合った歳下女子に会いに行き、二男は引き続き服を選ぶため、お洒落な街へと赴いた。 わたしは街をぶらついた。 前日は大阪顔負…

離れてこそ強く繋がる、それが目に見えた

二男は言った。 小さかった頃、二泊三日と言えば壮大な旅行だった。 でも、いまは一瞬。 そう、二泊三日などあっという間に過ぎるのだった。 ついさっきソウルに着いたばかりなのに、気づけば帰国する時刻が近づいていた。 帰路もまたそれぞれ別の便となる。…

今回は二男を連れ、次回は長男を連れてくることになるだろう

クラブラウンジの一角にセルフでカクテルを作るコーナーがあった。 セルフであるから誰もが適当に作って自席へと運んでいた。 ちょっと勝手が分からない。 こういうときわたしならスルーする。 が、家内の教えの影響か。 息子たちはこういう場面において関心…

ソウルは幾分か大阪より涼しかった

ソウルのウェスティンホテルを待ち合わせ場所に定め、わたしと家内は午前11時に関空を飛び立った。 一方、二男は一足早く午前9時に成田を発っていた。 正午過ぎに金浦空港に降り立って、Wi-Fiをつなぐと二男からメッセージが届いていた。 11時過ぎに仁川空…

選択肢が抑止力として機能する

選択肢がある。 年齢を重ねるごと、それがあることの豊かさを痛感する。 昔は選択肢などなかった。 駆け出しの頃など、連日「やばい、やばい」と切羽詰まったような気持ちで眼前の分厚い壁にぶち当たっていくしかなかった。 だから「楽しいと思えない場所」…

女房というスパイスが人生の旨味を引き立てる

夕刻、ゲリラ豪雨に見舞われた。 改札付近は雨をしのいで立ち尽くす帰宅者で溢れ返っていた。 ぎゅうぎゅう詰めといった様相で足の踏み場もなく立ち往生していると家内から電話がかかってきた。 いま、どこ? 駅だと答えるや否や「迎えにいく」と言ってすぐ…

年相応の分別が備わってきた

帰宅すると門扉が閉まっていた。 こういう時に限って鍵を持ち合わせていない。 家内はいまジムにいる。 ちょうどパーソナルトレーニングを受けている時間帯だった。 家に入れないくらいのことで邪魔立てしては申し訳ない。 わたしは駅へと引き返すことにした…

25年前と同様、夫婦で非常階段を駆け下りた

25年前の夏。 場所はロンドン。 非常ベルの音が部屋にけたたましく鳴り響いた。 夫婦揃って飛び起きた。 時計をみると深夜の2時を回っていた。 部屋を出て非常階段を伝って表へと出た。 大勢の宿泊客らと路上に立ち、ホテル建物を見上げた場面が印象深く記…

慌てず騒がずゆったり生きよう

奈良の走り屋が撒き散らす爆音で目が覚めた。 朝食の予約の時間が迫っていたからちょうどよかった。 朝食会場へと降りる際、エレベーターに乗り合わせた年配夫婦に家内が話しかけた。 デンマークからお越しとのことだった。 暑いでしょ。 家内がそう言うと、…

何事もなかったようにロンドンでの最終日を楽しんだ

この日がロンドンで過ごす最終日となった。 朝一番、二男がラインで送ってきてくれた「本籍地入りの住民票」を大使館にあててメールした。 あとは渡航証ができたとの連絡を待つばかりとなった。 朝から食欲は全開だった。 夫婦でハンバーガーを注文し、それ…

すべて完璧だった週末の息抜き

忙しさが増すと息抜きが欠かせない。 で、この週末、家内にそのアレンジを一任した。 わたしは言われた持ち物を持参して助手席に乗るだけ。 女房がいわば彼氏役を買って出てくれたようなものと言えた。 まず朝一番、家内おすすめのカフェへと連れられた。 注…

どんな映画を観るよりも素晴らしい時間になった

秋の気配が漂うグリーンパークを抜け、まずはお茶にしようとフォートナム&メイソンに向かった。 ゆったりとした気分で紅茶を飲んでプディングを分けて食べながら旅の計画を練り直した。 昼に何も食べていなかったから空腹だった。 だから当然、計画のトップ…

絶対的な話題が仲を取り持つ

朝、実家に寄った。 どうやら夏は盛りを過ぎたのだろう。 引き続き暑いが、日陰には微か冷涼が潜んでそこに秋の片鱗が垣間見えた。 それでもビール一箱を担いで歩くとどっと汗が噴き出して、それなりへばった。 実家ではいつものとおり古ぼけた扇風機が2台…

失意の底から平常心を取り戻すまでの4時間

木で鼻をくくったような対応をされると覚悟していた。 が、電話の向こうの声はいたって優しいものだった。 中へと通されまず最初、若い男性職員が対応してくれた。 パスポートの代わりに渡航書を交付してくれるとのことだった。 説明を聞き煩雑な手続きでは…

いるようで、いない

大阪に深刻な被害はなかった。 が、最強の台風が来るとのことで週末の予定がいろいろと変更になった。 当初、東京から長男の女子友がうちに泊まりに来ることになっていた。 娘みたいな歳の子であるから、一緒に出歩くことを家内は楽しみにしていた。 しかし…

背後では別の世界が蠢いていた

この瞬間のことはいま思い出しても膝から崩れ落ちそうになる。 家内の言葉を冗談だと思いつつ、わたしはリュックを手に取った。 チャックは開いていて、え、まさか、うそ。 ウエストポーチだけが見当たらなかった。 ポーチの中にはパスポートが入っていた。 …

体内時計が身を助く

金曜の夜、仕事で帰りが遅くなった。 事務所を出るのが午後9時半を過ぎるなどほぼあり得ないことだった。 谷町線に乗って、ちびっ子がうじゃうじゃといて驚いた。 みな同じリュックを背負っている。 塾帰りの子どもたちなのだった。 大人として一瞬、恥じる…

てっきりわたしは冗談だと思った

だいたいの観光名所は過去にまわり終えていた。 だから今回、特に見たいものがある訳ではなかった。 無目的のままぶらりとバスにでも乗って、その流れのなかで行き先を考えよう。 家内には珍しく行き当たりばったりで動くことになった。 朝食を済ませ身支度…