子らが巣立って弁当が不要になるとすることがなくなる。
家内はそう言うが、そのときはそのときでまた何かやることが出てくるに違いない。
料理に英語にヨガにジムに耳つぼアロマ、それに未使用の資格もある。
サル同然のやんちゃ坊主を人間に仕立てたという点で子育てについても一家言あるとみなすこともできる。
引き出し多く明るく元気で話して面白い。
余すことなく家庭内に注いでいたエネルギーを外に向ければ、それはそれで何かが生まれて思いもよらぬ意外な展開を見せるに違いない。
つまりこれからが本番。
人生前半は後半のための準備期間と言え、いよいよ濃度一段と増した充実のときが始まることになる。
振り返って手応えある日々の積み重ねがベースにある。
いろいろたいへんだったけれど子らをしっかり育て家庭を守った。
そういった自負心の有無が幸福感に大きくものを言う。
メンタルの土台がしっかりできているから、これからは更に楽しい。
あちこち出かけ、やり残すことがないようあれもこれもと取り組めば時間はいくらあっても足りず、たまに息子らを訪ねるとすればますます時間が足りない。
そして遠い将来、老いて晩年を迎えたとしても、やり切ったという満足感が残れば清々しくも潔く最期のときを過ごせるというものではないだろうか。
そういう意味で若い頃にピーチクパーチク遊ぶより、結構たいへんだったという道のりを経る方が人として正しいプロセスであるという風に思える。
最良の時間がまだこの先にある。
弁当など作ってる場合ではない、ということになるのだろう。