予想したとおり。
家内の運転での帰宅となった。
車中の話題は工藤静香。
家内によれば工藤静香は主婦の鏡。
料理が際立って上手で、画才あって子育ても立派に果たした。
もちろん歌もうまい。
まさに多芸多才の人。
キムタクはそれを見越した上で、いい女房をもらったのだった。
キムタクがおニャン子クラブのファンだったから。
工藤静香と結婚した理由について、誰か男子校の友人がしたり顔で語っていたが、やはりバカを言えという話であった。
色とりどりに咲き誇る女性の美質のルーツを辿ればセンスに行き着く。
センスが万能の素。
しかしそれ自体を手にとって見ることはできない。
ただその実在は、ありありと感じることができる。
まさしくブルース・リーが言ったとおり。
考えるな、感じろ。
考えるいとまもなく、心の関門を透過して一直線、芯まで届く。
非言語に属するから端的に言い表せないが、グサリと刺さる。
肝心要はセンスで決まる。
センスがなければどれだけ手を尽くそうが凡百の形無し、誰をも魅了しない。
たとえば、センスがあればシンプルな装いだけでアトラクティブ。
外車に乗って高価な舶来物で身を飾っても、センスがなければ様にならず滑稽、まるで漫画。
おそらくセンスは天賦の才。
そして希少。
なくても生きていけるが、ないと味気ない。
だから周囲に一人くらいはセンスのある人がいてほしい。
目と目で通じ合う。
自身に備わっていなくても、その持ち主はひと目で分かる。
この日の話題は工藤静香。
その上位概念は女性のセンス。
概念の架け橋を駆け上がり、わたしは車中、互いをキムタクと工藤静香になぞらえた。
呆れ返るほどの自画自賛。
それが幸福の秘訣。
誰にも迷惑はかからない。