この日、わたしも京都で家内も京都。
別々の仕事で動いて夕刻、京都伊勢丹で待ち合わせた。
人もまばらな地下食で買い物し、エスカレーターで階上へと進んだ。
途中、目についた店に寄り道し、家内が試着したり、用もないのに子供服など眺めて時間が来るのを待った。
予約してあったのは伊勢丹の10階にあるサルヴァトーレ・クオモ。
京都タワーを眼前に望むカウンター席に腰掛けた。
白ワインと前菜を幾つか頼み、牡蠣が美味しかったので再注文した。
とれたてほやほやの京都話を家内が披露し、撮ったばかりの写真を長男に宛て幾つも送った。
すぐ返信があって、そこには「いつ東京に来るん?」との記載があった。
長男も実は親の来訪を待っている。
いくつになっても親子なのだとわたしは思った。
三ヶ月に一度は上京する。
当初はそう言っていた。
が、受験学年である二男を置いてほっつき歩ける訳がなく、コロナの影響もあって、前回の上京からあっと言う間、一年以上の月日が経過した。
しかし、いよいよこの2月、3月は足を運ばねばならない。
来月には行くから美味しいものをいっぱい食べようとわたしは息子にメッセージを送った。
窓の向こうはすっかり暗くなって、各色に発光する京都タワーが一層際立って目を引いた。
食事の締めにわたしはパスタを望んだが、家内がそれを遮り肉を頼んだ。
そしてそこはさすがにわたしの女房。
4切れの肉塊のうち家内は1つだけを食べ、残り3切れすべてをわたしの小皿に取り分けてくれた。
夜の京都もなかなかいい。
ほんのひとときではあったが実に思い出深い夕飯となった。