自室に小窓があってその向こう、階下にリビングがあり朝そこで家内が家事に勤しんでいる。
吹き抜けだから声がよくとおり、小窓を通じ言葉が行き交う。
食事の用意ができた、そう声が掛かれば階下に降り、こんどはキッチンカウンター越しに言葉を交わす。
場所が変わると暮らしが変わる。
事務所移転後、家でゆっくり朝食を食べるようになり会話が増えた。
そして、仕事を終えて夕刻。
この日は天満橋で家内と待ち合わせた。
京阪シティモールで子らのジャージを選び、地下鉄で谷九に移動し明月館の座敷で向き合った。
息子らの情報を交換し合い、週末金曜、やたら焼肉が美味しく感じられた。
締めの冷麺を平らげ電車で隣り合って、引き続きトピックは子らのこと。
変化に富んだ今年序盤であったが、徐々に日常に落ち着きが戻ってきた。
この夫婦の二人暮らしに小津安二郎の東京物語のシーンが重なる。
笠智衆は49歳のときに70歳を演じた。
夫婦であることの実感は子らが巣立った後に増してゆく。
しみじみと過ごす間に70歳まで一足飛び。
そこへと向かう夫婦の佇まいがとても静かに見通せる。