これまでのくずついた天気はどこへやら。
土曜は朝から、からりと晴れ渡った。
家内が朝食を作り、食後は揃ってジムでカラダを鍛えた。
帰途、伊丹の道の駅で食材を購入し、昼から家内は料理に勤しみ、わたしは実家に向かった。
遺品を整理しながら、ひととき妹の思い出話に耳を傾けた。
わたしとはアングルが異なって興味深い。
で、思いついた。
母には大勢の友だちがいた。
挨拶を兼ね、一人一人に会って、ゆっくり話を聞いてみよう。
そういった追悼の仕方もあるはずで、であれば、子の務め。
それが使命とわたしは心に決めた。
帰宅すると、仕上がった料理の幾つかを家内が荷詰めしていた。
息子らに送るのだという。
わたしについては、マッサージを予約してくれていた。
施術者はアキシノという名人で、かねてから家内が勧めてくれていた。
クロネコヤマトの集荷場へと向かう家内のクルマに同乗し、わたしはマッサージ屋まで送ってもらった。
クルマを降りる際、アキシノに差し入れるお菓子と顔の下に敷くためのタオルを渡された。
うちの女房はどこまでも世話焼きなのだった。
初手からアキシノは神技だった。
正確にツボとスジを捉え、力加減も絶妙だった。
90分間の至福に憩って、カラダはすっかり生気を取り戻した。
たっぷり睡眠と栄養をとり、運動を欠かさなくても、カラダは淀む。
澱が節々に溜まって気の流れが滞り、放置すればカラダ自体が塞ぎ込んだかのようになる。
だから折々、人の手が必要で、その手当を受けてようやく内の通気が回復する。
通気が回復すれば、ただ呼吸するだけで幸福感に満たされる。
心地よさにひたって帰宅すると、風呂の支度と夕飯の用意が整っていた。
まずは風呂。
BATH RICHという入浴剤を湯に投入し、窓から入る夕刻の涼気を胸いっぱい吸い込みながら、心ゆくまで弛緩しまどろんだ。
そして迎えた夕飯は完全無欠なスタミナ食だった。
家内の二万語を聞きながら箸を運び、あっという間に時が過ぎ、気がづけば夜10時。
この幸せな日々は女房によって支えられている。
そう改めて実感することになった。