KORANIKATARU

子らに語る時々日記

ひととき懐かしさにひたった

送られてきた通話記録には電話番号の一部だけが記載されていた。

番号を逐一覚えている訳ではないので、携帯に登録してある番号を確認しなければならなかった。

 

その際、誤って電話を掛けてしまった。

応答があるはずもなく、「ごめん、間違えて掛けてしまった」と伝えることもできない。

なんと悲しいことだろう。

 

いつ、何を話したのか。

通話記録をたどって、幾つもの会話を振り返った。

記憶を探るうち、だんだんその内容が明瞭になっていった。

同時、明るく元気な声が蘇って、耳元に響いた。

 

この日も明石で業務を行った。

数時間の面談を終え事業所を後にしたとき、携帯の履歴を確認した。

 

幾つか着信があるなか、そこに名を見つけ一瞬、混乱した。

 

思い返せば、わたしが誤って発信したときの履歴であった。

が、ちらと眺めると、そのとき何か会話でもしたとしか思えない。

 

さっき会話した。

そんなはずもないのに、そう願うような気持ちになって、だから辛さが一層込み上がることになった。

 

もう一週間以上が経過するのに心が残って仕方なく、わたしはまだ現実を受け止め切れていないのだった。

 

夕飯は長田の平壌冷麺で食べようと家内と待ち合わせをしていた。

母を伴って家族でこの店を訪れたのは10年以上も前のことだったろうか。

 

辛味のホルモンと冷麺が絶品。

昔から変わらぬ味で、いつ食べても懐かしい。

 

家内と向き合い、定番どころを静かに味わい、母を想った。

 

食後、各停の電車に並んで座って帰途についた。

 

車窓の向こうをただぼんやり眺めるうち、またじんわり目に涙が浮かんだ。

日常は概ね回復しつつあるが、まだ当分、寂寥から身をかわせそうにない。

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2021年5月28日 息子の夕飯

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2021年5月28日夕飯 新長田 平壌冷麺