前夜の帰りが午前様だったからゆっくり眠った。
幸い木曜はゴミ出しがない。
そんな些細なことが実に嬉しい。
事務所には向かわず、午前中、自宅にて業務を進め午後一時に家を出た。
ぽかぽかとした陽気のもと、がらがらの電車に乗って東大阪まで揺られた。
いつもより電車がゆったりと進んでいるように感じられ、自分の歩幅で過ごせる毎日が幸福であると思った。
会議の席で二時間を超えて集中し、たっぷり喋ったから終わった後ぐったり疲れた。
疲労を引き摺らぬよう帰宅前、駅前のマッサージ屋に寄った。
きつく揉むのはカラダによくない。
それが持論の施術者であったから物足りない。
が、彼の言葉は印象に残った。
要は呼吸。
呼吸が浅く弱くなると、疲労物質が排出されずダルくなる。
大事なのは呼吸なのですよ。
そんな言葉に影響を受け、店を出た後いつにも増して呼吸して秋の涼気を体内にたっぷり巡らせた。
家に着くとちょうど同時、家内の運転するクルマが玄関前に駐車するところだった。
わたしは荷物を運び、手製の餃子を家内が作り、夕飯の席で向かい合い家内はビール、わたしはノンアル龍馬1865をグラスに注いだ。
この日家内は赤や黄色に木々が鮮やか色づく秋たけなわの丹波篠山を訪れていた。
季節の食材を仕入れ陶器を買い求め、その足で、帰途、三田のアウトレットに寄った。
バーゲンセールされるブルゾンがお買い得だった。
東京にて男三人がラルフのブルゾンを着て歩く。
そんなシーンが家内の頭に浮かんだ。
男三人それぞれに写メを送り要不要の確認をとって計三着を家内が選んだ。
その三着を食事しながら試着して、わたしの頭にも男三人が並んで歩く姿が浮かんだ。
バーゲン品が等身大。
実によく似合って、やはり家内のチョイスは的確と言えた。
その日について語る家内の二万語に耳を傾けしみじみ思った。
夫婦ともども、どちらか言えば楽な呼吸で日々を過ごしている。
やはりそれがいちばん大事なことだろうと家内に話し、子らも若き修行時代を経た後はそのように暮らして欲しいと夫婦で思いがぴたりと一致した。