ほっと一息つける日があるからやっていける。
月末から十月序盤にかけては目も回る忙しさだった。
ここ二日ほどは武庫川を走る暇もなく、カラダ全体の鈍重感が増していた。
だから数時間の軽作業で課題が終わるこの木曜は、待ちに待った安息日のようなものと言えた。
思った以上に疲れがひどく前夜はなかなか寝付けなかった。
が、いつもどおり朝五時には起床した。
玄関を出て郵便受けから新聞を取り出すとき、駅へと向かう勤め人の姿に目が留まった。
こんな朝早くに出勤なんて信じ難い。
そう思ったが、わたし自身もついこの間まではこの時間に事務所に向かっていた。
よくもあんなことができていたものである。
文化放送の「おはよう寺ちゃん」を聴きながら珈琲を飲み新聞を読み、そして自室で業務に取り掛かった。
軽作業であるから気楽なものである。
昼を前に家を出た。
陽気のなか歩くうち、軽装の身軽さで疲労感が大いにやわらいだ。
皆の弁当を買って事務所に入り、これまた自室にて軽作業に勤しんだ。
場所が変わって集中の度が増し、かなり業務が捗った。
午後3時半、ニッポン放送の「ズームそこまで言うか!」を耳にしながら帰途についた。
この月曜から辛坊治郎さんが復帰した。
喋りに衰えがまったくない。
ボクサーで例えたら、シュガー・レイ・レナード。
この小気味良いスピードを向こうに回し、話を噛み合わせられる者など思い浮かばない。
肩で風切る歴戦のマシンガントーカーの面々もしゅんと黙って聞き役に回らざるを得ないだろう。
まだ明かるいうちに風呂をあがり、窓際に立ち風に吹かれた。
この日で脱アルコールは156日目を迎えた。
軽く流した一日だったから疲労も抜けて、頭もクリア。
日中の暑さはすっかり影を潜め、そこを埋めるように山風がふんだんに清涼な空気を運んでくる。
得も言われぬ幸福感が全身に満ちた。
忙しい日があるからこそ、一息つける日がしみじみと沁み入ってくる。
来週も西へ東へと予定がいっぱいに埋まっている。
ふと訪れる安息日がより良いものになっていく。