KORANIKATARU

子らに語る時々日記

気持ちを初心で上書きすれば勢いづく

今月はうちがゴミ当番になる。

朝いちばんでゴミ用ネットのセッティングを行い、ゴミが回収された後、ネットを畳む。

それが役割であるが、日頃から朝一番でわたしがネットを広げているから、ゴミ当番と言っても畳む工程が増えるだけのことである。

 

そんなことを思いつつこの日も朝一番でゴミを出し、それで勢いをつけ自室で作業に勤しんだ。

朝の時間は黄金。

3時間ほど集中し業務がかなり捗った。

 

朝9時過ぎ、残務をこなすため家を出た。

駅を降り皆の弁当を買って事務所に入り、これまた自室にこもって業務に没頭した。

 

集中が途切れぬよう用事があれば皆とメールでやりとりするから、自宅にいるのと変わらない。

そう気づき、ちゃんとコミュニケーションを取らねばと席を立とうとしたとき電話が鳴った。

 

長年この仕事に携わり、信頼が得られているからだろう、こんなわたし相手であっても多くの方が丁寧に接してくれて、ありがたいことこの上ない。

 

が、誰もがそうである訳ではなく、まれに難詰されることがある。

 

端からこちらに非があるといった口ぶりで、そんな言い方ひとつで心は曇って気持ちが沈む。

日常の場面ならムッとなって言い返しもするのだろうが、これは仕事。

ぐっと堪え平身低頭受け答えし、なんとかその場を収めることに全力を尽くした。

 

業務に誤りはなかったが、説明が不足していたのかもしれなかった。

そういう意味で非があった。

どんなことからも学びそれを糧とし活かしていかねばならない。

 

気持ちを切り替えるため外に出た。

谷町筋は道幅が広いから空もまた広い。

 

圧せられた心を解き放つように空を仰いで、そこらを歩いた。

日差しは強いがビル影に吹く風は心地よく、金木犀の香りがそこかしこ漂っていた。

 

そうそう、自営の身になろうと思い立ったのもこんな季節のことだった。

芦屋のどこか通りを歩いているとき金木犀の香りが甘く鼻孔をくすぐって、ふと気づいたのだった。

誰もが豊かに生きるなか、このままだとうちはジリ貧のままである。

 

それで勤め人であることを清々しくもやめ、いまに至った。

 

ぶらり無目的に歩きつつ、支えてくれる人、頼りにしてくれる人の顔を思い浮かべ、潜り抜けてきた苦難の道を振り返った。

 

世には金木犀の香りだけが漂っている訳ではなく、いろいろな匂いが渦巻いている。

それにいちいちたじろいでいては、ひ弱にすぎる。

 

これくらいのことは何でもない。

嫌な思いをそこで吐き出し捨て去った。

 

自営の道はまだ始まったばかりで勝負はこれから。

初心に返って気持ちを上書きし、それで勢いをつけ事務所に戻った。

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2021年11月2日着 星光保護者会報誌『ペアレンツ・リユニオン 再会の集い』,卒業時に残す66期の一文字タイトルは『間 あはひ』,この一文字に相手を大切に思う、そんな星光生の温かさが感じられる。

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2021年10月 息子の学校から季刊広報誌