明石辺りには縁がある。
お客さんが複数いて、その最西端は加古川。
その最西端の事業主から声がかかり、間をとって明石で待ち合わせることにした。
時刻は夕刻。
久々会って、率いられるようにして駅近くの飲み屋の暖簾をくぐった。
ノンアルを頼もうとして事業主と顔を見合わせた。
そのときわたしは自身の役割を察知した。
一緒に過ごしてつまらない男であっては話相手として不適であって長い付き合いに水を差す。
飲まない日数や数値より、この人とのこの場を大事にする男でなければ意味がない。
このようにして脱アルコール182日目にして、わたしはビールを口にした。
店の名は道場。
なんとこの日にふさわしい。
ありふれた雰囲気の店であったが、やはり港町明石であるから刺身がおいしく、その他もすべてなかなかのものであった。
飲んで喋って、これでいいのだとわたしは思った。
おれとおまえの間柄。
そんな関係が満たされることは喜びで、不完全さに気を揉みながら飲まないでいるよりはるかに居心地よく、相手と向き合う時間は充実したものとなった。
性格上、愛想なしに振る舞うなど不本意なこと極まりない。
仕事においてもそう。
だからその場が来たら一緒になって酌み交わす。
そうであってこそ自ら楽しく人との繋がりも真っ直ぐ深まっていく。
道場で飲んで以降、昨日までの3日間、飲まずに過ごしそして今日、星光の先輩後輩の何人かと酒席を共にする。
肩肘張らずまあ楽しく飲もうと思う。