うちには息子が二人いる。
ともに屈強。
大食漢でお酒も強い。
ひさびさ一堂に会するのは東京でか大阪でか。
時期は月をまたぐ頃となるだろう。
メニューは肉の一択で揺らがない。
こちらは家内が二人の時間を調整し、どこかとっておきの店を予約する。
注文する品についても事前に店と打ち合わせ、最良の段取りを整えてくれるはずである。
わたしはただ「さあ、飲むぞ」と号令を掛けるだけのこと。
息子たちと飲む。
彼らを授かったときにそう夢見て、彼らの成長を間近で見守りつつ、いつか飲もうと地味に地道にささやか夢を育んできた。
振り返ればあっという間のことだった。
息子らは大学生となり各々たくましく東京で暮らし、気づけばともに晴れて二十歳を過ぎた。
夢が夢ではなくなって、彼らを伴いこれまで各所で飲んできた。
生まれたときには小さかったのに、いまやいっぱしの男子となった。
そんな二人がわたしの息子で、彼らと席を同じくして酒を酌み交わす。
近況を聞き、思い出話に花を咲かせ、未来に向けての抱負を語り合う。
多くを語るが、しかし喋り過ぎることはなく所々に渋みある沈黙が差し挟まって、思いの輪郭がより明瞭なものとなる。
胸の内まで共有されるかのような時間が五臓六腑に沁み渡り、こんな酒席の喜びをなんと表現していいのやら言葉にならない。
うちには息子が二人いる。
その二人が希望の星となってわたしたちに夢を見せ、そしてまた次なる夢へと導いてくれる。
続きの夢もまたささやかなものであり、遠からず実現することだろう。
いまは四人のこのメンバーが、徐々に徐々にと増えていく。
場所は?
東京、大阪、はたまたどこか異国の地になるのかもしれない。
そこで集まって皆で飲む。
幼いメンバーがいれば、そんな彼らが起点となってさらなる夢が派生する。
が、しかし。
夢の登場人物であり続ける難度は、少しずつ高くなっていくのかもしれない。
だからこそ健康管理がいっそう大事となるが、いつしか夫婦そろってよいものを食べ日々運動を欠かさぬといった暮らしが定着をみた。
図らずも夢は実現へと進み始めているようである。