夕刻、わたしは業務を終えて京都にいた。
深まりゆく秋、どこかで一杯と思っていると家内からメッセージが届いた。
午後6時、大阪の天満駅で。
人気のフレンチの店の予約ができたとのことだったので、京の都を後にしてわたしは一路大阪を目指した。
指定の時間より早くに着いた。
すでに日は暮れ、季節はまもなく冬なのだと思い知らされた。
天神橋商店街をぶらついて時間を潰した。
少し見ぬ間に、目新しい店が幾つも目についた。
ここは大阪屈指の飲食店の激戦区なのだった。
入れ替わりが実に激しい。
時間になって駅をのぞく。
改札付近に立つ家内に声をかけ、あとは家内に引率されて店を訪れた。
開店と同時、ぞろぞろと入店する客らの後について中に入った。
店員に導かれ、奥のテーブル席へと案内された。
食べ物の注文は家内に任せ、飲み物はわたしが受け持った。
話題はこのほど誕生日を迎えた長男のこと。
日をおかず、同じ会社の内定者同士でこのところよく遊びよく飲む。
だから誕生日も祝ってもらい、先日連れ立ち、ディズニーランドを訪れた。
家内にもわたしにも幾つもの写真が送られてきた。
入社前から彼ら彼女らは密接に付き合い、その結束はかなり強靭なものになっている。
頼もしい仲間に恵まれ最善の会社選びだったと思うが、ひととき安穏な時間を経て、彼はまた激闘の世界に投げ込まれることになる。
家内は言った。
ほんと、芦屋ラグビーに入れておいてよかった。
奮闘するための基礎がそこで身についたようなものと言えたから、わたしも同感であった。
また再び戦いの日々が始まる。
親としてもう送迎は不要であるが、固唾を呑んで戦況を見守り一喜一憂することに変わりはない。