西宮での業務を終え小雪舞う道を駅へと向かった。
ホームに立ち底冷えに身が縮んだから、電車の到来に心底安堵した。
車内は暖かでここに至ってようやく「寒い」という話以外の会話が生まれた。
大阪駅で降り、では一杯飲もうとこの日同行していた職員を伴った。
ルクアの地下にはいろいろな店があって潰しが効く。
何がいいと彼に聞きつつ店を探して一巡し、せっかくなら人気の店でとわたしが言って、列ができていたスタンドふじ子を選んだ。
ヨガを終えてこちらに向かっている家内を待ちつつ列に並んで15分ほど、家内が姿を現し、まもなく席に案内された。
わたしにとって二週間ぶりの飲酒となった。
最盛期を過ぎた投手さながらの登板間隔であったが、ビールで乾杯してすぐに酔いが回って、連打を浴びたみたいにわたしの口数は減っていった。
こんなときに家内がいて大いに助かる。
せっせと料理を取り分けて、あれこれ喋って実に楽しい。
息子たちにそうするように、たくさん食べてもらおうとあれもこれもと注文するからそのうちテーブルは料理で埋め尽くされた。
刺身が美味しく、だから寿司も美味しく、天ぷらやフライものもなかなかの出来栄えでかつ安いから列ができることに納得がいった。
わたしは家内が取り分けてくれる一品一品を味わい、静かにお酒を飲んだ。
誘うと負担になるのでは。
そう気遣っていたが、いける口である彼はビールを何杯もおかわりし饒舌になって楽しんでいた。
たまにはこんな飲み会があってもいいだろう。
二時間ほどでラストオーダーになり、きりのいいところで席を立ち散会とした。
駅で別れ、わたしと家内は帰途についた。
帰りの道中、「寒い、寒い」と夫婦で言葉を交わし先日訪れた新潟の寒さを思い出し、気づけば明日から週末、何をしようかと話し合った。
家内の発案であれこれと予定が決まっていった。
寒いけど楽しい。
そんな週末の情景が夜道に浮かんだ。