KORANIKATARU

子らに語る時々日記

男五十三歳、結婚観を絵にすればこうなる

約束の時間が過ぎた。

家内はまだ帰ってこない。


雨が降り続いていた。

クルマがなければジムに行けない。


夕刻、倦怠感もあった。

今日は休もう。


そう思うわたしの頭に近所の居酒屋が浮かんだ。

冷えたビールに香ばしく匂いたつ焼鳥。


そのイメージが膨らんで、さあ、繰り出そう。

玄関前で靴を履いたとき、眼前をクルマのライトが照らした。


家内だった。

嗚呼。


わたしはビールと焼鳥のイメージをかき消さねばならなかった。


家内が運転するクルマに運ばれジムへと向かった。

わたしはふさぎ込んだように、未練たっぷり、雨滴が打ちつけ曖昧模糊とする窓外に見えるビールと焼鳥を睨めつけた。


雨だったからジムはガラ空きだった。

ほぼ無人とも言えるプールで悠々と泳ぎ、この時、ああジムに来てよかったと心から思った。


泳いで気持ちよく、筋トレしてサウナに入っても同様。

ジムの工程のラストはマッサージチェアで、それらが並ぶエリアに行くと、家内が先に横たわっていた。


隣に腰掛け夫婦でくつろいだ。

横のチェアの家内の姿が視界に入る。

のんびり心から安らいでいる様が見て取れた。


この光景こそ、夫婦の図。

若い頃には思い描かなかったが、いまのわたしの結婚観を絵にするならこの図に凝縮されている、そう思った。


帰宅し、前日に続きノンアルで軽くあっさり夕飯を済ませた。


焼鳥屋で過ごすよりはるかに良い夜となった。

いつも同様、軌道修正してくれたのは他ならぬ家内であった。

2022年11月1日 朝 ピェンロー鍋,昼 妻家房 石焼ビビンバ

2022年11月1日夕飯 ジム後に軽くタンパク質