細部をいろいろと詰める必要があった。
家のリビングだと話が拡散してしまうばかりで収拾がつかなくなる。
やはり場所が肝心で、こういうときには芦屋のロイヤルホストに腰を据えるのがわたしたちの定石と言えた。
昼を前にクルマを走らせた。
なんとか窓際の席にありつけたが、一歩出遅れていたら席にあぶれてしまっただろう。
日曜日の日中に最もくつろげる場所としてロイヤルホストは誰もが思い浮かべる場所なのだった。
家内と向き合って座り、ランチを食べ終えてすぐ作業にかかった。
8月も9月も旅行の骨格は定まっていた。
あとは食事場所と訪れる名所旧跡を決めるだけだった。
が、なにせ選択肢が多いから集中しないといつまでたっても決定にまで至らない。
ああでもないこうでもないと探索を進めつつ、わたしたちは四人家族であるからときおり手を休めて息子たちと電話で会話した。
この日の昼過ぎに長男宅にお手伝いさんがやってくる予定になっていた。
息子は日増しに忙しく、うっかりすればセルフネグレクト状態に陥って暮らしの環境が劣化を極めかねない。
それでわたしが家事代行会社にネットで依頼し掃除を頼んだのだった。
ところがキャストが電車を乗り間違えたとのことで到着が遅れているようだった。
まもなく長男から再度連絡があった。
お手伝いさんが無事にやってきたこと、ついでに洗濯も頼んで部屋を出たとのことだった。
これで息子は休日を有効活用でき、そして後ほど感動の報告が寄せられたのだが、部屋はホテルなみにキレイになるのだった。
二男とは帰省の日程について話し合った。
66期との旅行後、こっちで一緒に過ごす時間もあると分かって、家内が早速寿司屋と焼肉屋を予約した。
このようにロイヤルホストの一角がヘッドオフィスとしての機能を果たし、各種の検討事項がスムーズに確定していった。
あちこち家内とわたり歩くが、灯台下暗し。
試験中の学生みたいにロイヤルホストに長居して過ごした時間は、案外、思い出の最上位にくるものとなるのかもしれない。