大雨警報が発令され、市内がゲリラ豪雨に見舞われるなか家内が事務所に現れた。
手には差し入れ。
皆にお茶を淹れケーキを配って、小一時間ほど業務を手伝った。
夕刻には雨もあがって、わたしたちは一足先に事務所をあとにした。
鴨鍋でも食べて帰ろうとなって寄り道した。
鍋を挟んで向かい合い、昨日の話の続きとなった。
立命館のおじさんは試合をみながら言っていた。
慶応ってだけでひがまれますよ。
だから大勢で肩を組んで慶応、慶応と歌っていたらまるで我が世の春を謳歌しているみたいに見えて面白くない。
そう思う人は少なくないと思います。
私は立命館だからひがみはしませんが。
なるほど。
そう言えば甲子園球場からの帰途、バスの後ろに座る慶応生らも言っていた。
慶応は何かとやっかまれる。
イケてそうで仲が良くて楽しくやっているように見えるからだろうね。
仕方ないよ。
自惚れや自意識過剰といった話ではなく、客観的にそうと心得ているだけ彼らは処世についても長けているといっていいだろう。
ナイーブな人であれば自分が幸せに見えることも、それでひどく疎まれたり妬まれるといったことにも気づかず、怒りを増幅させてしまいかねない。
おじさんの話やバスで聞こえた話を合わせてみれば、慶応の優勝後、ネットに飛び交う誹謗中傷や罵詈雑言などは想定内といった話であり、やはり聞き流すべきことなのだとの理解に至る。
みんなで一生懸命に応援した。
それについても難癖がつくのであるからどうしようもない。
いちいち相手にしたところで感情的な押し問答に巻き込まれるだけであり、得られるものなど何もないだろう。
やはり大阪は美味しい店だらけ。
鴨が美味しく、蕎麦も美味しく、ビールの旨さが引き立った。
会計を済ませ表に出ると、少し風が出て涼しいと感じた。
あ、秋。
夫婦そろってその出現を微かに感じ、のんびり歩いて駅へと向かった。