先日買い物した際、迷いに迷って決め切れず結局は取り置きにした品があるという。
ではひさびさ一緒に服でも買いに行こう。
そう話が決まって、空一面が青々と澄み渡る日曜の朝、一路、三田プレミアム・アウトレットへと向けクルマを走らせた。
開店までにまだ間がある早い時間だったにも関わらず、高速の出口付近から長い車列ができていた。
服を買う。
大勢の家族にとってそれが休日の過ごし方の定番なのかもしれなかった。
遅々と進まず、家から高速出口までに要したのと同じだけの時間が、その出口から現地に到着するまでにかかった。
だからクルマから降りたときの開放感といったらなかった。
さあ、服を買おう。
そんな気持ちに弾みがついていた。
見て回る店は毎回同じで家内の後をついて歩いて、各店にて夫婦それぞれがあれやこれやと試着した。
天気がすこぶるよく、陽光が地上のすべてを輝かせ、山間の地に吹く風は右へ左へとかぐわしい。
そんななか服を通じて互いに注目し和気藹々と感想を述べ合う訳であるから、これこそがまさにつがいのコミュニケーションではないかとわたしはちょっとした感慨を覚えた。
そして店から店へと移動する道中、銀だこの屋台の前で休憩し、引き続き胸のすくような青空のもとひと舟のたこ焼きを夫婦で分け合って、言葉はなくてもこれもまた実に深みのあるつがいのコミュニケーションではないかと更にまた感慨は深まるのだった。
結局、わたしはかなりかっこいいコートを見つけ、ついでにシャツを1枚選び、家内は取り置きの品の購入を決め他にカシミアのセーターを幾つか買った。
締め括りの店はアシックスで、われら運動夫婦、ジム活に必要となるウェアやシューズの備蓄分を買い揃えこれにて一件落着。
買い物を終え、帰りは家内が運転してくれた。
家に着くなり夕飯の買い物へと家内は出かけ、空腹に耐えかねたわたしはその隙に昼を済ませてから武庫川へと走りに出た。
そのようにして一日はあっという間に過ぎ去って夕刻。
前日に続いてこの日も夫婦でノンアルを手にし、しらふの爽快感をほしいままにした。
カジュアルに夕飯を食べ子育ての頃を懐かしく振り返り、やはりこれもまた夫婦ならではの会話であったから、一日を通じてつがいのコミュニケーションの何たるかについてわたしは実地で学んだようなのものと言えた。