雨模様の朝、武庫川を走ってから家の掃除に取りかかった。
ルンバを走らせながら拭き掃除をし、最後はマキタのコードレス掃除機を使って細部まできれいに仕上げた。
掃除をすると爽快感で胸は満ちるが、お腹は減る。
定食のライスを大盛りにしてもらって昼を済ませ、朝から出かけていた女房と梅田で合流し京都へと足を延ばして買い物に付き合った。
人でごった返すなか、古都に本来備わっているはずの情緒を感じとろうと意識して歩き、しかし梅田と異なるのは気温くらいではないかと感じつつぶらぶらし、この日は月一回の寿司屋の日だったから予約時間に合わせて西宮へと戻った。
いよいよ雨がぱらつき始めたので地元の駅からはタクシーを使った。
年初でもあったから挨拶を兼ね店主に京都の菓子をみやげで渡し、女房と横並びで寿司を味わった。
「たけ屋」の寿司はほんとうにおいしい。
感動体験を共有し、自ずと夫婦は肩寄せ合うような格好になって会話は親密さを増した。
だから店を後にするとき、幸せな時間をありがとうと店主に礼を述べた。
ぱらつく雨のなかを歩いてタクシーを拾い家に戻ると、先日帰京したばかりの長男が慶応の友人を連れ帰郷していた。
お腹が減ったというので「縁ぐち」に電話するとちょうど4席空いているというからツイていた。
歩いて店へと向かい、角を挟む形でカウンター席に並んで座った。
友人がいていつもとは異なる長男の一面が見えた。
噂には聞いていたが、こんなにも陽気で楽しい男だったのか。
男だけでどこか二次会に行ってくれば?
そう女房が水を向けてくれ、近場のラウンジなどを思い巡らせてみたが、みなしこたま飲んでいて、結局、二次会案はお流れとなった。
家に戻ると女房が彼らのために手製の雑煮を温めはじめ、もう飲めないくせに彼らは家にあったヘネシーを開けてグラスに注いだ。
そんな様子を眺め、この平凡な時の流れに身を浸す自身の心象にもわたしは目を向けた。
この一端末の捉えた光景が、すべてを包含する心という人類の普遍に接続している。
そう感じ、一端末であることの奇跡を噛み締めた。