遅めの帰宅となった。
家内は牡蠣をあてにすでに一杯やりはじめていて上機嫌だった。
子どもたちの写真を見て思い出にふける家内の隣に腰掛けてわたしも夕飯の場に合流した。
家内の二万語が始まった。
この日、芦屋大丸で収穫があったという。
夕刻、魚介類に三割引きのシールが貼られはじめた。
これ幸いと家内はあれやこれやと買い物カゴに入れていった。
売り場をぐるぐると回ってまた魚介の場所に戻ってくると今度は半額シールが付されはじめていた。
家内はおじさんに申し出た。
半額のものと取り替えてください。
家内の手柄話を聞きながら、あそうそうと思い出しわたしはテイラー・スウィフトのコンサートの電子チケットをダウンロードしラインを通じて息子に分配した。
母の孫たちはみんな仲がいい。
息子が言うには先日、従姉と食事して母の思い出話になって周囲の目も気にせず居酒屋で号泣したのだという。
母は心優しく、ほんとうにいい人だった。
だから、もう会えないと思えば溢れ出る涙を押し留めようがない。
孫全員が胸の内にいる母を思い母に呼びかけ、しかしあの明るく可愛らしい笑顔に触れることのない日々が降り積もってゆく。
なんて寂しいことなのだろう。