朝、ゴミを出す。
わたしの役割である。
つい先日まで朝6時であれば暗かった。
刻一刻と夏至が近づき、いまや朝6時と言えば空がもっとも明るく美しい時間帯と言えるのではないだろうか。
雲ひとつなく、見上げれば空は鮮やかな青一色で、微風がそよいでその青に頬を撫でられるかのよう。
なんて気持ちがいいのだろう。
うっとりと朝の清涼な空気を全身で浴び、ネットを組み立ていつものとおり一番乗りでゴミ出しを済ませた。
その間、駅へと急ぐ方々と何人もすれ違った。
みな役割をもってそれぞれの務めを果たしている。
わたしもそんな人々の一隅にあるのだと思うと満更でもない。
その昔、一寸先は闇だった。
一歩誤れば一気に奈落。
そんな心象風景とともにあったから、心もとないことこのうえなかった。
それがいつしか明るくなった。
ひとつひとつの業務をこなし、その蓄積があってのことだろう。
方々から声がかかって忙しく、この先も相変わらず忙しく、日々の充実度は増すばかりである。
だから雲一片くらいが横切っても、たちまち空の青へと吸い込まれなんら大事には至らない。
そんなおおらかな気持ちで毎日を過ごすことができる。
下手すればゴミのように放り出されて路頭に迷う。
そういった瀬戸際感覚は気づけば遠い昔の思い出になったのだった。
好天が続き今日は夏日となるようだ。
天気がいいと気持ちが前向きになる。
朝6時のゴミ出しを皮切りに幸先のいいスタートを切り、午後6時には一日が完結する。
山あり谷あり、小さなギャップすべてを均すことはできないにせよ、無事スムーズに終わって今日もご馳走で締め括る。
さあ、帰りに何を食べようか。
今日、気を揉む懸案と言えばそれくらいのものだろう。