KORANIKATARU

子らに語る時々日記

いよいよ決勝

昨日、第29回兵庫県ラグビースクール大会5年の準決勝「伊丹ラグビースクール対尼崎ラグビースクール」の一戦を観た。
神戸ユニバ記念競技場の正面スタンドに陣取って、もう一方の準決勝である芦屋ラグビースクール対宝塚ラグビースクール戦の試合開始を待ちつつの観戦であったが、当の芦屋戦よりはるか強烈に印象に残る試合であった。
主審は往年の名選手であり現在芦屋ラグビーのコーチである前田氏。

出だし序盤から尼崎は優勝候補の伊丹に一歩も引かないどころか、前へ前へと猛ラッシュをかける。
フォワードもバックスも相手にカラダをがんがんぶつけて、もがくように暴れて一歩でも前に出る。
尼崎バックスが走り回って主戦場はあちこち目まぐるしく変化するが、常に尼崎のフォワード陣が一人も欠けず「現場」にあって伊丹勢にプレッシャーかけ続ける試合の立ち上がり。
尼崎の試合に臨む意気込みと、一丸となった闘志がまずは相手を席捲した。

当初受け身となる展開の中、徐々に、伊丹もペースを取り戻し、試合のテンションがぐんぐん跳ね上がっていく、遂には、フィジカル、スピード、気迫とも、伊丹、尼崎両者拮抗する激しい動きの応酬が繰り広げられる熱戦となった。

伊丹は、目が点になるようないきなりの尼崎の出力全開の猛攻によくぞ耐え総崩れせず流れを取り戻したと言える。
そこが伊丹の底力なのだろう。

スタンドでは伊丹応援陣の歓声、尼崎応援陣の歓声が、交互に上がる。

試合終了30秒前まで尼崎が2-1とリードしていた。
終了間際、本当に一瞬だった。
僅かの間隙縫って伊丹フォワードがグランド端っこに流れ込むような劇的同点トライを決めた。
試合終了間際、尼崎が大金星を意識した際の際、伊丹の粘りと集中力が紙一重相手を上回った瞬間だったのかもしれない。

2-2の引き分けでホイッスルとなった。
全力尽した戦いの後、一気に感情込み上げたのか、両チームの選手らがおいおい泣いている。

そして、事務局テントの下、両チームのキャプテンが2通の封筒から1通ずつ選び開封する。
抽選により決勝進出を決めたのは伊丹であった。
泣き崩れるかのような尼崎のキャプテンをコーチが支え、そして泣きながらチームメイトがキャプテンを迎え、その肩を抱く。
尼崎チームだけでなく、伊丹チームの選手も泣いている。
コーチ同士が力強く堅い握手を交わす。ノーサイド。

初冬を感じさせる寒風吹きつける中、熱く染み入ってくるような、じわじわと胸に迫ってくるような試合であった。
がっぷり四つで一歩も引かず闘う醍醐味と、その後のカタルシスをしみじみと味合わせてもらえた。

試合後感極まって泣いていた選手らの胸の内にも、そのうちゆっくりと、満ち足りたような充足感が湧き上がってくるはずだ。
あれほどの激闘を必死に頑張った経験は、自負心の源泉となり彼らの心の中で屹立した思い出として留め置かれることだろう。

さて、芦屋5年であれば、どうであったろうか。
あそこまでのモチベーションで尼崎に向ってこられたとして、我ら芦屋の子供達は、総崩れせずに持ち堪えることができたであろうか。

来週の決勝戦、芦屋対伊丹。
厳しい試合をサバイバルしてきた伊丹の士気は相当なものである。
激闘繰り広げ、尼崎に決勝の切符を委ねられた伊丹が、流すような気楽な気持ちで決勝に臨んでくる訳がない。
彼らは、尼崎の分まで、芦屋に負ける訳には行かないのである。
伊丹魂の真骨頂を決勝の場で見せるに違いない。

芦屋としては、伊丹を土俵際まで追い込んだ尼崎のような戦いができるかどうか。
ここで負けたら終わりだというジリジリとした切迫感のもと臨んだ三田戦を遥かに上回るモチベーションで、伊丹に立ち向かえるか。
万が一、ここまで来て十分という気が微かでもあれば、奇跡起こるどころか、一年の努力が水の泡になるような、プライドをズタズタに引き裂かれるような、木っ端みじんのボロ負けを喫することになるだろう。

伊丹の猛攻を全員一丸で防ぎながらも、尼崎が伊丹に対し見せたような、全力で走りに走って相手にガンガンぶつかっていく姿勢をこれでもかと貫き続ければ、芦屋のハーフ筆頭にバックスが、一瞬垣間見えたトライへの軌道を走り抜けてくれるに違いない。

2011年11月27日、決勝伊丹戦。
全力尽して仲間と闘い抜く、大切な思い出の一日となるよう。
語り種となるようなナイスゲームを!