KORANIKATARU

子らに語る時々日記

静けさとはしばらく無縁

北摂の道は複雑だ。
新御堂に入った瞬間、何が何だか分からなくなる。

この日も案の定、吹田に向かうのに分岐を通り越し千里まで行ってターンした。

やっとのことで目的地近辺まで到達するも住宅街の区画は迷路のようであり道幅狭くおまけに急傾斜もあって、乗り慣れたクルマがまるで遊園地のアトラクションと化したかのようであった。

狭い傾斜をバックすること度々。
冷や汗絶えず憔悴余儀なくされ、クルマのナビはあかんべーと舌を出し、そしてはたして目的地には辿りつけないのであった。

近くには万博公園。
エキスポランドの亡霊がこの地を這っているに違いない。

道に迷ったまま立ち往生し、やむなく相手さんに迎えに来てもらうこととなった。

動揺の余熱冷めぬまま小一時間で面談を終え、帰途につく。

丁寧に教えてもらった道順で走って、左手にエキスポシティが見えたときには安堵した。
だだっ広いような外観がスリル満点の北摂行脚の終わりを告げた。

あとは大阪市街へと地続き、道なりに進むだけである。

事務所によってツバメ君に書類を預け次なる地へと向かう。

日々はなだらか均等ではなく、20日を頂として急傾斜を成す。
そろそろ月末だという集合的無意識がそのような褶曲をもたらしているに違いない。

だから吹田住宅街の坂道も勾配を増し、時の流れもめまぐるしい。

やっとのこと業務を終え家に帰還したとき、子らはとっくに食事を終えていた。
新たまねぎとぷりぷりの海老でこさえた天ぷらをサイドディッシュに彼らはつるり大量にざるうどんを平らげたようであった。

わたしには別メニュー。
紫豆腐、わかめのサラダ、焼き魚。
どれも上品でとても美味しいのだが、なんだかとても侘び寂びだ。
基礎代謝が下り坂まっしぐらの中年である。
その侘び寂びこそが歳相応ということなのであろう。

あと数日で登りは終わる。
束の間、道が平坦となって小休止。
一息ついて後、またハッスル駆け出すことになる。

その繰り返し、繰り返し。

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