岡本家族を迎えてうちで夕飯、その予定が急遽変更となった。
天六いんちょから連絡があり、韓国料理ほうばの全席に丸々空きが出たと知った。
八ヶ月以上前からしてあった貸切の予約がキャンセルになったのだという。
師走の土曜日。
ほうばの席にありつけるなどおよそあり得ることではない。
日頃の善行が報われた。
果報者である。
わたしは女房を伴った。
今年二回目となるほうばに心弾んだ。
夕刻5時過ぎ、宴が始まった。
豪華前菜が目に鮮やかで、白子と銀杏がちぢみという料理の位を高みに押し上げ、のっけからほうばの美味空間に引き込まれることになった。
素材素晴らしく、プルコギも牡蠣もカルビもフカヒレも、涙誘うほどの美味しさであり、どれもこれも、K点越えの絶品料理と言えた。
当然、お酒もすすんだ。
天六いんちょの飲み残したチャミスルはもちろん、岡本が持ち込んだ赤ワインを左手に、瓶からすくったマッコリを右手に、左右交互クロスで飲んだ。
岡本家族、天六いんちょ家族、両家の子どもたちがやたらと可愛く、場が賑々しくなって華やいだ。
左を見ては目を細め、右を見ては目を細め、わたしの細い眼は一層細くなるばかりだった。
もちろん親思いの天六いんちょのことである。
ご両親の姿も見えた。
久々お目にかかったが、すこぶる元気というご様子であった。
こんな名店を借り切っての団欒。
まさに僥倖ともいうべき時間を過ごせた。
いまなおその余韻が引き続き、今日は家内とほうばの話ばかりしている。