朝九時に家を出て徳島に着いたのは正午だった。
まずは徳島ラーメンを食べよう。
家内がそう言うから中華そば「かわい」に向かった。
駐車スペースにクルマ一台分だけ空きがありそこに滑り込んで店の前の列に並んだ。
わたしたちは四番目だったが、ちょうどわたしたちの前の客を最後に売り切れになると伝えられ、そんな殺生なと絶句しつつ気を取り直し、クルマを走らせ中華そば「いのたに」に向かった。
家内が電話すると後しばらくは品があるとのことだったが道に迷ったロスタイムが響き店に着くもすでに店は閉まってラーメンにはありつけず「品切れ」との張り紙を目にしただけとなった。
再度気を取り直し向かうは中華そば「ひろっちゃん」。
ここも駐車場に一台だけ空きがあり、家内に先に店へと向かわせわたしは何度も切り返し狭いスペースにクルマを収めた。
そこまでして食べた徳島ラーメンであったから当然に絶品であった。
徳島滞在中、わたしたちはラーメンばかり食べて過ごすのではないだろうか。
そう思えた。
幸福な昼を済ませた後、ホテルで自転車を借り家内とともに各演舞場を見てまわった。
なみなみとした水量の川が街を東西に流れ、涼を運んで暑さを幾分か和らげた。
念願の阿波踊りをまもなく目にすることができる。
わたしたちの胸は高鳴った。