KORANIKATARU

子らに語る時々日記

これだけあればそれで十分満足だ

クタクタになって帰宅する。
仕事をしていると本当にいろいろとある。

脈略なくあれやこれや浮かぶが、浮かべば浮かぶほどこんがらがって収拾がつかない。
神経疲弊しグリップが効かず、思考がすべて上滑りとなる。

こういうときこそ注意深く運転しなければならない。
速度を出さず、視野を広く保つように心がける。

なんとか無事に家にたどり着く。

長男が風呂に入っている。
湯につかって英語の勉強をしているようだ。
扉越し、日本語で会話する。

リビングへ上がると二男がタイガース戦を観戦している。
二桁得点でボロ勝ちしていると経過を教えてくれる。
野球のことより、長男並みのカラダの厚みに驚かされる。

そしていつもどおり家内は笑顔で上機嫌。
しかし、疲れ果てていてそのテンションにとても呼応できない。

さっさと着替え、わたしは家を出た。
ゆっくりゆっくり走ってカラダを徐々に温めていく。

不思議なことに、最初はだるさの塊だったようなカラダがにわかに軽くなって、おまけに気分まで晴れてきた。
小一時間で心すっかりリバイバル、増大し続けたエントロピーが収束し思考に秩序が戻ってきた。

走り終えコンビニに寄る。
角瓶を買うついでに、缶ビールをひとつ買う。

一口飲んで、百年の恋に落ちたみたいに思わず缶を見つめた。
アサヒの新製品、その名は豊穣。
なんて美味いのだ。

ビールをゴクリと飲み干して確信する、人生はとてもシンプルだ。
走って飲めば、問題など何もないのだと気づくことができる。

風呂をあがって夕飯をいただく。
食べ盛りの息子らがうまいうまいと言っていくらでも食べるのでメニューの充実度は増すばかりである。

この夜のメインは焼肉。
週末金曜、家族らが揃った家で人心地。

わたしにとってはこれがすべて、これだけあればそれで十分満足だ。