KORANIKATARU

子らに語る時々日記

休み明けの心得

連休明けの朝。
心身ともに重心はまだ後ろ、どちらかと言えば受身の体勢だ。

受身に縛られ、しかし眼前には不吉を知らせるかのような暗雲が見える。
ひたひたと近づきまもなく頭上を覆い始める。

押し寄せる仕事の姿を薄ら眼で眺めれば、漠とした寂寥、物悲しいような気持ちが少しばかりは込み上がる。

朝なのに、どこか薄暗い。
一体何が起こってそうなるのだろう。
真相を確かめるべく心の奥深くを探ってみる。

不可視感がもとで生じる不安のようなものなのだろうか。

休みという安閑からの急激な環境変化。
何が起こるか降りかかるか分からない、未踏のジャングルに置かれるようなもの。

一個の生命体の反応として神経張り詰め身構えざるを得ない。

物音すれば振り返り、何か気配を感じればとっさに重心落として臨戦の構えとなる。
心拍数はあがって冷や汗も出る。

つまりは太古の昔から備わった負荷感たっぷりの反応を休み明けには余儀なくされる。
ジャングルではなくたかが仕事であっても、昨日今日で身についた反応ではないので如何ともし難い。

その負荷を思えばだから当然物悲しい、そうなるのが人情だ。

このとき沸き起こる不安を制御できなければ、枯れ尾花に腰を抜かす程度の笑い話では済まず精神に変調来す場合も起こり得る。

やはりどうやら正しい認知が大切だということになるだろう。

今から向かうのはジャングルなんかではない。
せいぜい仕事という囲いのあるリング程度のもの。

その仕事というリングを前に、太古の地を駆け抜けた剛の者らの暗黙知が脇を固め無敵の援軍となる。
ジャングルですら住めば都と生き延びた豪華布陣が整うのであるから、不安どころかこれほど心強いことはない。

そう思えば、歴戦の強者らのなか受け継がれてきた闘志のようなものも少しは湧いてくる。

そして何より大事なのは、超強力すぎるこの防衛システムに過剰適応して前につんのめって憔悴するのではなく、眼前のジャングルは所詮は虚構の作り事、そこで戯れる程度に思って、ゆっくり呼吸し、深く呼吸し、急がず慌てず徐々に前傾姿勢をとるようにすることであろう。

そうすれば、何ら無理なく、自分の庭で嬉々跳ねまわるかのように、楽しい業務の時間を過ごせることになる。
半日もすれば、おつかれさん、また安らぎのお家へ帰還できることになる。

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