夏休みまでのカウントダウンが始まった。
街のいたるところ、いやでも目に入る。
麦わら帽子に短パンにスーツケース。
夏の旅路の三種の神器。
どの顔も迫り来るバカンスの時の時に喜色満面となりつつあって、こっちまで行楽気分がかき立てられる。
思い浮かべるだけで相好崩れる。
義務ひとつないまっさら自由な一日が朝焼けとともに訪れる。
野であそび山かけあがり海に飛び込む。
ひたひたとその足音が聞こえてくる。
まもなく我が家にも家族揃っての夏休みがやって来る。
生きてあることの喜びが凝縮される夏である。
ただ一個の生き物に還って惚けたように夏の太陽を仰ぎ見る。
まもなく、だ。
水しぶきあげ家族と過ごす幸福な一時が、永遠となって刻印される。