早起きし社会という沖に出て、ひとわたり仕事してからささやか暮らす浜へと引き返す。
浜には小さな日常だけがある。
たとえば、商店街で刺身を買って家内と分けて食べた、といったようなことである。
時が経てば跡形もなくなるような日常に取り巻かれ、それで満足している。
だから、自らを大きく見せようとか、飾り立てて違う者に成り代わろうとか企むことがない。
気取ったところでお里は知れて、出張った尾っぽはどのみち隠しきれない。
等身大で日常を過ごし日常のうち心に残った断片を書き留めていく。
記録係のサガである。
おそらくどんな時代にも記録係体質の者がいたはずだ。
巧拙は様々、誰かが書き留め後々誰かが読み返す。
この日記の場合は子らが読む、多分。
サガの声に従っているからだろう。
日記を書くのはとても楽しく清々しい。
ストレス解消になっているとも言えそうだ。
今日も無事、難所を切り抜け帰還した。
その喜びをしたためる。
日記は歓喜に満ちている。