帰宅は夜10時過ぎ。
わたしがいちばん最後だと思っていた。
夜なのに陽気な家内によれば、わたしが帰宅の一番手だという。
ほどなくして上の息子が帰ってきた。
リビングに上がってくるなり夕飯を食べ始めた。
夜なのに肉をがつがつ頬張り、出される料理をことごとく平らげていった。
そうこうしているうち下の息子も帰ってきた。
食事は友だちと済ませてきたという。
ちょっとした外食が楽しい時期である。
どこで食べたのか。
家族の視線が一斉に二男に注がれた。
丸亀という雰囲気であったが、一人の友人が強くこだわって吉牛になったとのことであった。
何を食べたのか。
彼に向けられる質問はまだやまない。
夜なのに他愛のない話に熱が入った。
一夜明けて朝。
5時前になってまず下の息子が起き出した。
寄る年波か、このところ朝がやや辛い。
さしもの早起き鳥も先を越されることが増えてきた。
しかし、息子がとっくに起きているのに大の男がいつまでもごろごろ寝てるわけにはいかない。
いつものとおり気合一発、勇気を振り絞って寝床を抜け出た。
引き続き、長男が目を覚まして部屋から降りてくる。
そのときには、家内は朝食の支度にかかっている。
朝だからいたって明るい。
弁当はとっくに出来上がっている。
その日の熱源をカラダに充填させるかのごとく子らは朝飯をかっ喰らい、その食べっぷりに目を細め家内の明るさが更に増す。
わたしは弁当を引っ提げ、一番最初に家を出る。
率先垂範する者、汝の名は父。
息子らと対峙するにはハードルがやや高く感じられる今日このごろであるが、まだまだ彼らには負けられない。
いつの日にか朝寝坊しようと思いつつ、まだ真暗な道を仕事場へと向かうのだった。