体調を崩し家内にはほんとうに申し訳ない。
平成が令和へと変わるこの連休、家内は家内なりにきちんと過ごそうと思っていたはずだ。
それなのにわたしは風邪を跳ね返せず家族皆の出鼻を挫いてしまった。
今日と昨日が入れ違っても分からぬようなダラダラとした時間の流れなど最悪。
風邪をこじらせるとそうなる。
連休三日目となる火曜も前日同様に動けず家で寝転び家内の世話になった。
早朝に目が覚め、クスリを服む前に何か食べようとピザを温めた。
前夜二男が所望しアレグロで家内が買ってきたものである。
わたしがキッチンでガサゴソとする物音を聞きつけ家内が起き出した。
ピザで風邪は治らない。
そう言ってカニ雑炊と熱々のテールスープを用意してくれた。
しかしそれでもまだ治らない。
うたた寝しつつ映画『麻薬王』を観る。
これも滋養強壮効果を求めてのこと。
主演ソン・ガンホのパワーと活力にシンクロすれば風邪など吹き飛ぶ。
たしかにエネルギーを頂戴できた。
しかしその活用は風邪が治ってからになるだろう。
元気じゃないととてもあのパフォーマンスは真似できない。
わたしが映画を観ているその間、家内は家の用事で上へ下へと忙しい。
炊事洗濯に休みはなくやることは絶えないようだ。
昼は乃が美の食パンにチーズと生ハムを載せ、それに熱々のかぼちゃスープ。
聞けば西宮北口にも乃が美ができたのだという。
デザートはビタミンCたっぷりのフルーツ。
食後はリビングで横になる。
することもないのでヨガのレッスンに行くという家内がリビングに流すBGMをチョイスしてくれた。
家内が出かけ、家は無人。
部屋に波の打ち寄せる音だけが満ちる。
家内の見立てどおり風邪による苦痛が徐々にやわらいで行くような気がした。
部活の試合のため出かけている二男から戦績について連絡が入る。
皆と天王寺のビックリドンキーに行くので夕飯はいらないという。
『麻薬王』面白かったよ、とわたしは返信した。
午後5時、家内が戻り夕飯の支度が始まった。
テレビをつけるとどのチャンネルも過ぎ行く平成を特集しているが関心惹くような内容は何もない。
それでNetflixでBBCのシャーロック・ホームズを選びロンドンの街並みをBGM代わりに流すことにした。
夜は焼肉とシザーサラダ。
そしてデザートは奈良最強いちごとの呼び声高い古都華。
奈良を懐かしみそれを選んだ家内の気持ちがよく分かる。
結局この日も三食きっちり食べて寝るだけの一日となった。
これでおそらくもう大丈夫だろう。
一夜明ければ風邪は吹き飛び、体調は万全、満面の笑顔で令和初日を迎えることができるはずである。