注文していた湯呑みを取りに京都を訪れた。
いつにも増して人で混み合っていた。
交差点では団扇が配られ、浴衣姿の方があちこちに溢れ、山鉾の姿が往来に見える。
それではじめてこの日が祇園祭の宵山の日なのだと知った。
錦市場も人で揉みくちゃになるような混雑ぶりで、だから陶器屋で用事を済ませその細い商店街を抜け出たときには、スッキリ感というのだろうか、得も言われぬほどの爽快を覚えた。
家内につき従い歩き、所々であられや昆布など買い求める。
どの店も端正で折り目正しく、わたしたちはそこかしこで京の情緒を堪能することになった。
昼食は瓢樹。
これまた風雅な趣きであり、日頃暮らす世界と隔たる異空間。
そんななか夫婦で過ごす時間は至極と言えた。
ひととき過ごし、雑踏を避け小路を選んで歩き、京のラストは高島屋のかき氷で締めた。
阪急に乗って梅田で乗り換え、次に向かうは心斎橋。
この日、京都の湯呑みの他に、大阪の大丸で返金してもらう用事があった。
せっかくだから映画を観ようとなって、マ・ドンソク主演の韓流映画『無双の鉄拳』を選んだ。
これが当たりで、韓流エンターテイメンの凄味を夫婦揃って肌で感じることになった。
いやはや、息もつかせぬ展開で二時間があっと言う間。
観終わった後は心地良い感じでヘトヘトになってお腹も空いた。
韓国料理を食べて帰ろうとなるのは自然な流れであった。
足は島之内へと向かい、ネットで調べアラマァーという店を探して歩いて、そこで夕飯。
ここも言わば異空間。
チヂミが美味しく、チゲが辛くて汗ばんだ。
三連休の最終日、思いがけず夫婦で各種異空間を楽しめた。
そして異空間を巡ると日常が恋しくなる。
ほどよい頃合いお開きとし、電車に乗って帰宅の途についた。