昼に時間があったので実家に寄って久々母を食事に誘った。
が、あいにく行きつけの寿司屋は休みだった。
火曜は定休と知ってはいたが、グーグルで検索すると営業中との記載があった。
師走だから営業しているのだろう。
いともあっさりその記載を信じたわたしがバカだった。
グーグルがいつも正しい訳ではないのだった。
師走に入ってにわか冷え込みの度が増した。
今更遠くに行く気になれず、近くにあるラーメン屋に入ることにした。
わたしが子どもの頃から存在するラーメン屋である。
餃子が美味しく、母が夕飯のおかずにその餃子を買ってきたときには、弟と一緒にそこら飛び跳ねて喜び、二人で軽く10人前は平らげご飯も3杯お代わりした。
仕事中なので餃子は避けた。
母はラーメン、わたしはチャーハンセットを頼んだ。
ラーメンを待つ間、iPhoneで母に子らの写真を見せた。
じっと写真に見入る母の姿を見て、まめにプリントアウトし送るべきであったと自身の気の利かなさを猛省した。
ラーメンを食べて半時間あまり。
思えば母と向かい合って二人でラーメンを食べたことなど生まれて始めてのことだったかもしれない。
一場面一場面を心に刻んだ。
この日、仕事の最終地点は梅田だった。
業務を終え、クリニックの入るビルから出たちょうどそのとき、前を通りかかっていたのが昔なつかしの事業主の方だった。
冷え冷えの夜空のもと、梅田の雑踏を駅まで一緒に歩いた。
振り返れば15年ぶり。
めっきり白いものが増えた頭髪に降り積もった気苦労が垣間見え、再会を無邪気に喜ぶこともできず、言葉少なにただただわたしは横に付き従い、ではまたと駅で別れた。
あんこう鍋が家で待っていた。
わたしは八海山の小瓶を携え帰宅した。
家内とお酒を酌み交わし鍋をつついて、いつもどおり他愛のない会話を交わして過ごした。
テーマはいつだって子らのこと。
彼らのラインのプロフィール写真などをみて、ただそれだけで二人の会話は盛り上がった。
そこに宅急便が届いた。
28期の松井教授から黒毛和牛。
これで二男に精がつく。
12月14日には南都銀行女子ホッケーチームと練習試合が行われる。
女子とはいえ社会人の強豪。
ここに照準を合わせ二男に黒毛和牛を投下することになる。
その他同時に、竹内先生からはビールが届き、安本先生からはソーセージとビールの詰め合わせが届いた。
女房と二人、平和平穏な夜。
師走であるとの実感が込み上がった。
いい茶菓子を仕入れたとのことで、食後はお茶の時間と相成った。
家内の手料理を食べていると胃に余白ができるので、甘い物を迎え入れることも許される。
肉と魚が中心で野菜が多く、炭水化物が最小限の分量となる。
だから、カラダも軽快、調子いいということになる。
実際、理想的な食事と言え、たくさん食べても均整保たれている家内と息子の体型がそれを証している。
わたしについては、外をさすらって要らぬ補給を絶やさないので、家内の計算の埒外にあってアウトオブバウンズ。
この女房をもってしても、わたしだけは均整とは無縁な一生を過ごすことになるような気がする。