土曜日の朝一番、二男が帰省した。
ワクチン接種の二回目を終えた翌日、始発で帰ってきたのだった。
副反応はないとのことで、家に着くなり彼は武庫川を走った。
そして、家内は張り切った。
ありあわせのものでまずは朝食を作った。
夜は、28期松井教授から頂戴し、塩麹につけ下ごしらえしてあった黒毛和牛の出番となった。
夕飯はすき焼き。
家族3人で食卓を囲んだ。
積もる話が山ほどあって、尽きない。
面白かったのが大学の定期試験の話。
憲法の試験は論述だった。
試験後、答案が右の人へと集められた。
右の者は二男の答案を受けとり、更に右へと進めるのではなく、しばらくの間、その答案を注視した。
目が離せない。
そんな様子だった。
離席後、右の者が二男の後を追ってきた。
「どうすればあんな完璧な答案を書けるんですか」
そう尋ねられ、「昔から作文が得意だった」とだけ素っ気なく答え、二男はその場を去った。
二男の話を聞いてわたしは言った。
これも縁。
いわば舎弟誕生とも言える瞬間であり、今度彼を見かけたら優しい兄貴分として声をかけてあげるべきだ。
そう二男に言い含めた。
家内は終始機嫌がいい。
そんな話を聞いて思うのは、小さい頃の読み聞かせが功を奏したといったことだろう。
二男はご飯を3杯お代わりし、家内はわたしに向けて小さくガッツポーズした。
引き続き頑丈そうではあったが、どうやら走り過ぎで二男のカラダは線が細くなっていた。
今後は筋トレを充実させて肉厚を増すようにするとのことであったから、大阪滞在中はあれも食べようとこれも食べようと食のスケジュールがどんどん決まっていった。
日曜は星光の友だちと西宮で映画を観るという。
中高では一度も口をきいたことのない相手だというから、なるほど66期においても、星光生の真のつながりは卒後に始まるのだった。
普段、一人暮らしをさせているからだろう。
感慨もひとしお。
夜更けまで、息子がいるということの喜びを夫婦でしみじみと味わった。