いつか仕事が楽になる。
そう思っていた。
実際、この歳になって仕事の負担はかなり軽減された。
しかし、当初夢想していたのは負荷からの完全解放。
無重力とも言える状態をあてこんでいたので、マシにはなったが楽になったとはとても言い難い。
その昔、体育の先生が言っていた。
どれだけトレーニングを積んでも筋トレが楽になることはない。
仕事も同じ。
強くはなるが、それ自体が楽になることはないのだろう。
だから考えるべきは、仕事とどう共生するか、ということになる。
楽を夢想するなど現実逃避みたいなものであり、夢から覚めれば余計に苦しくなるから逆効果にもほどがあるという話であった。
一日を終え、安らぎの時間。
明日の労苦が頭をよぎるが、それはそれ。
いつものとおり真面目に過ごせば、労苦に続いてまた安らぎが訪れる。
そんなものだと諦観すれば、労苦も見慣れた日常の一部であって親しみさえ湧いて、それはそれで楽しからずやという風にも思えてくる。
で、それがあってこその安らぎ。
スイカに塩をかければ甘味が増す。
要はそういう話で、若い頃のスイカに比べれば、いまの糖度は桁違いとも言えるだろう。
楽ではなく味に着目。
そうすれば自分の幸せ具合がとてもよく理解できる。